ローマ教皇の決め方をわかりやすく解説!謎の選挙コンクラーベの全貌

雑学

ローマ教皇の決め方「コンクラーベ」って何だろう?

「ローマ教皇はどうやって決められるの?」という質問に、すぐ答えられる人は意外に少ないかもしれません。

実はローマ教皇は、カトリック教会の特別な選挙「コンクラーベ」を通じて選ばれています。ただ、「コンクラーベ」と聞いてもピンと来ない方も多いのではないでしょうか。「普通の選挙と何が違うんだろう?」「なぜ鍵をかけてまで行われるの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。

ここでは、そんな「コンクラーベ」の意味や仕組みをわかりやすく解説していきます。

そもそもコンクラーベとは?

「コンクラーベ」という言葉は、もともとラテン語で「鍵のかかった部屋」を意味しています。これは文字通り、ローマ教皇を選ぶ枢機卿たちが、バチカンのシスティーナ礼拝堂に鍵をかけて集まり、外部との接触を一切絶って投票を行うことから来ています。

この制度が誕生したのは1274年、第2リヨン公会議でのこと。なぜ、わざわざ鍵をかける必要があったのでしょう?実はそれまで、教皇選びが政治的な駆け引きに左右され、なかなか決まらず混乱が続いたからなんです。選挙をスムーズに進め、公正さを守るため、「決まるまでは出られない」という厳格なルールが作られました。

簡単に言えば、外部の影響を一切受けず、公平な決定を促すための特別な仕組みなのですね。

教皇を決める「枢機卿」ってどんな人?

では、教皇を選ぶ「枢機卿(すうききょう)」とは、どんな人たちなのでしょうか?

枢機卿とは、ローマ教皇を補佐するカトリック教会の最高幹部のこと。世界各地の司教や有力な神学者の中から、教皇が直接任命します。

ローマ教皇を選べるのは、その枢機卿の中でも80歳未満の人だけ。その数も120名以内と明確に決まっています。これにより、一定の新鮮さや多様性が保たれています。

普段は各地の教区を指導したり、カトリック教会の運営や重要な決定に関わっています。いわば「教皇を支える幹部スタッフ」という立場なのです。枢機卿たちは、教皇が亡くなったり退位した際、世界中からバチカンに駆けつけ、新しい教皇を決める重責を担います。

教皇選挙はこうして行われる!舞台裏に迫る

ローマ教皇の決め方は「コンクラーベ」という特別な選挙だということは分かりました。では実際、その選挙はどのように行われるのでしょうか?ここでは、その舞台裏を覗いてみましょう。

選挙の準備は「使徒座空位」から

ローマ教皇が亡くなったり、退位したりすると、その瞬間から「使徒座空位(しとざくうい)」という状態になります。これは、簡単に言うと「教皇の座が空席になっている状態」のこと。

この期間中は、教皇が行っていた全ての職務が一時停止され、新教皇が決定するまでは、特別な枢機卿の集まりが教会を運営します。まさに「次の船長が決まるまで、幹部クラスが一丸となって船を守る」ようなイメージですね。

この使徒座空位の状態から15〜20日以内に、世界中から投票権を持つ枢機卿たちがバチカンに集まり、「コンクラーベ」が始まります。システィーナ礼拝堂が閉ざされると、いよいよ新教皇を決める投票が始まります。

投票開始!白い煙と黒い煙の謎

いよいよ「コンクラーベ」の投票が始まります。システィーナ礼拝堂の扉が閉ざされると、外の世界とは完全に遮断されます。枢機卿たちはそれぞれが投票用紙に候補者の名前を書き、無言のまま次々と投票箱に入れていきます。

投票は初日だけが1回、その後は毎日午前と午後の2回ずつ行われます。新しいローマ教皇が誕生するためには、3分の2以上の票を集めなければなりません。つまり、単純な多数決では決まらず、圧倒的な支持を得た人物だけが教皇に選ばれるのです。

そして投票結果は、煙の色で外部に知らせられます。もし誰も教皇に選ばれなければ、投票用紙は黒い煙とともに燃やされます。この黒い煙がバチカンの煙突から空へと立ち昇り、人々は「まだ決まらない」と理解するわけです。

一方、教皇が選ばれると、特別な薬品を混ぜた白い煙が煙突から立ち昇ります。白い煙を見た瞬間、バチカン広場に集まった人々は大歓声を上げます。まるで「世界に向かって新しい時代が始まった」と告げているかのような、劇的で印象深い光景です。

新教皇誕生、その瞬間は?

白い煙が上がると、バチカンは一気に緊張感と喜びに包まれます。その後まもなく、バチカン宮殿のバルコニーに枢機卿が姿を現し、「ハベムス・パパム!」(新しい教皇が決まりました)と、ラテン語で宣言します。

この宣言を聞いた人々は喜びと興奮でいっぱいになり、新しい教皇が姿を見せる瞬間を待ち望みます。ついに新教皇がバルコニーに姿を見せると、広場を埋め尽くす信者たちの拍手と歓声が鳴り響きます。教皇はここで世界中の信者に向かい、短くも力強い最初の言葉を贈ります。

この挨拶は決して長くありませんが、新教皇の個性や方向性が垣間見える瞬間です。温かな笑顔で手を振る姿からは、新しい時代の幕開けにふさわしい穏やかさと決意が伝わってきます。

実は日本人も「枢機卿」になったことがある

教皇選挙に参加する枢機卿というと、なんとなく日本とは縁遠いイメージがあるかもしれません。でも実は、日本人で枢機卿に任命された人物もいるんです。

枢機卿は世界各地から選ばれ、教皇を支える役割を持っていますが、日本という国からも任命されたという事実は、意外な感じがしますよね。ここでは、そんな知られざる日本人枢機卿について少しご紹介します。

日本人で枢機卿になった人物

実は過去に、日本人からも数名の枢機卿が誕生しています。特に有名なのが、戦後日本のカトリック教会の発展に大きく貢献した田口芳五郎氏や、教皇庁(バチカン)の教育省で長年活躍した濱尾文郎氏です。

田口氏は、戦後間もない日本においてカトリック教会の再建や教育普及に力を注ぎ、国内だけでなく海外でも評価された人物です。一方、濱尾氏はローマの教皇庁において教育担当の重要な役職を務め、世界のカトリック教育の方向性を示す役割を果たしました。

どちらも日本人としては珍しい、世界的な影響力を持った宗教的リーダーだったのです。

日本人枢機卿がいる意味

では、日本人が枢機卿になった意味とは何でしょう?それは、日本のようなカトリック信者の少ない国からも枢機卿が選ばれることで、教皇選挙や教会運営に多様な視点が取り入れられることにあります。

枢機卿は新教皇を選ぶ役割がありますから、日本人枢機卿が存在するということは、日本のカトリック信者たちの視点や意見が、間接的に教皇選挙へと反映される可能性を意味します。

このように、日本人枢機卿の存在は、日本とバチカン、さらには世界のカトリック教会をつなぐ重要な架け橋とも言えるのです。

映画から見るコンクラーベの現実

教皇選挙の「コンクラーベ」は、映画にもなったほどドラマチックで興味深いテーマです。映画『教皇選挙』では、その舞台裏や枢機卿たちの葛藤が描かれています。

映画を観たことがある方も、まだ観ていない方も、ここで紹介する映画と現実の違いを知ることで、よりリアルな「コンクラーベ」の姿が見えてきます。

映画の描写と実際はどう違う?

映画『教皇選挙』では、教皇選挙をめぐる枢機卿たちの心理的な葛藤や政治的な駆け引きが印象的に描かれています。映画ではドラマチックに誇張されるシーンも多く、現実のコンクラーベとは少し違う部分があります。

例えば、映画では候補者同士の露骨な対立や派閥争いが強調されていますが、実際のコンクラーベでは、こうした葛藤はもっと静かで控えめな形で表れます。枢機卿たちは表立った争いを避け、話し合いや祈りを通じて静かな決断をするのが現実なのです。

映画がリアルを知る手助けになるポイント

とはいえ、この映画を観るとコンクラーベの現場の雰囲気や緊張感、システィーナ礼拝堂の内部の様子を具体的にイメージしやすくなります。また、枢機卿たちが新教皇を決定するまでにどれほどの重責やプレッシャーを感じているのかという心理的側面を理解する助けにもなります。

映画はあくまでフィクションですが、その描写を通じて、実際のコンクラーベの背景や枢機卿の立場に対する共感を深めることができるでしょう。

コンクラーベがわかる基礎キーワード

これまで「コンクラーベ」の舞台裏や教皇選挙について詳しくご紹介しましたが、まだ少し難しく感じる言葉があるかもしれませんよね。

そこで、知っておくと理解がより深まる「教皇選挙の基礎キーワード」を簡単にまとめました。これを読めば、難しそうな話もすっと頭に入ってくるはずです。

覚えておきたい教皇選挙用語

▶コンクラーベ:
ローマ教皇を決める特別な選挙のこと。鍵をかけた礼拝堂で行われ、外部との接触を一切遮断して投票します。

▶枢機卿(すうききょう):
教皇を補佐するカトリック教会の最高幹部。教皇が亡くなったり退位すると、新しい教皇を選ぶ役割を持ちます。

▶使徒座空位(しとざくうい):
教皇の座が空いている状態。教皇の死去や退位から新教皇が決まるまでの期間を指します。

▶白い煙・黒い煙:
投票結果を知らせる方法。教皇が決まると白い煙、決まらないと黒い煙が煙突から立ち昇ります。

▶バチカン市国:
ローマ市内にある世界最小の国家。カトリック教会の中心地であり、教皇の居住地としても知られます。

▶聖職者の服:
枢機卿や教皇を含むカトリックの聖職者が着用する特別な服装のこと。枢機卿は鮮やかな赤い服、教皇は純白の服をまといます。

ローマ教皇の決め方、知ったことを話してみよう

ローマ教皇がどのように決まるのか、これまであまり知らなかった方も、この記事でその仕組みや背景が少し身近に感じられるようになったのではないでしょうか。

コンクラーベや枢機卿、白い煙の意味など、新しい発見や興味深い内容が多かったと思います。ぜひ、友達や家族との会話の中で、「ローマ教皇の決め方って、こんな風になっているんだよ」と、話してみてください。

知識を共有すると、それだけで人とのつながりが広がりますよね。この記事がきっかけとなって、より深くカトリックや世界の歴史について話す機会が生まれれば嬉しいです。

もしこの記事が面白かったと感じたら、ぜひSNSなどでもシェアしてみてください。あなたの発信が、誰かの新しい学びになるかもしれません。

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