街中でカラスの死骸を見かけない理由
街中で野鳥が亡くなっているのを見かけることはあれど、カラスが亡くなっているのを見かけることはあまりありません。いったいなぜカラスは小鳥やハトに比べ、死骸を見つける機会が少ないのでしょうか?
知能が高いため死亡事故に遭いにくい
カラスが亡くなる原因はさまざまですが、街中で亡くなる野鳥の中には、交通事故や窓ガラスへの激突事故で死亡する個体が少なくありません。
しかし、カラスは知能がとても高い鳥のため、かつて危険を察知した場所を覚えていたり、経験を通じて学習することで、命に関わる事故に遭遇しにくいと言われています。
カラスを捕食する天敵が少ない
日本の街中で見かけるカラスは、主に「ハシボソガラス」や「ハシブトガラス」という種類ですが、このサイズのカラスを捕まえて食べる天敵は街中にほとんどいません。
山間部だとオオタカやトンビ(トビ)、ハヤブサといった猛禽類がいて、カラスを捕食することもありますが、都市部ではカラスの身に危険を及ぼす相手はとても少ないのです。
ただし最近では、都市部を生息場所として選ぶ猛禽類も出てきており、今後カラスの生存圏が変わっていく可能性も指摘されています。
死期が訪れるとひっそりと巣で亡くなる
カラスが事故や天敵によって亡くなることがあまりないとすると、残る主な死因は老衰や病気によるものです。けれども、死期が迫り、弱っているカラスは街中を移動する力がもう残っておらず、基本的には自分の巣の中で過ごします。
カラスの巣は、人の気配があまりなく、身を隠しやすい森林の中に作られていることが多いため、そこで亡くなっても人間が死骸を見つけることはまずないでしょう。
こういった理由から、カラスの死骸を人が見かけるケースはとても少ないとされています。
カラスの死骸を見つけた時の対処法
もしもカラスが亡くなっているのを発見したら、まずは発見場所が私有地なのか、それとも公共の道路上などに当たるのかを確認しましょう。私有地でカラスが亡くなっていた場合は、原則としてその死骸の処分を土地の所有者が行います。
賃貸住宅であれば、管理会社や大家さんに連絡すると対応してもらえますが、自分の所有する土地にカラスの死骸があったなら、自分でその死骸をビニール袋に入れて封をし、一般廃棄物(可燃ごみ)として出す必要があるのです。
一方で、誰かの私有地ではなく、公共の施設や道路上でカラスの死骸を発見した場合は、施設の管理者や各自治体の役所に連絡して対応してもらいましょう。
カラスの死骸を見つけた時の注意点
自分で死骸を処分する時は手袋やマスクを着用する
野鳥であるカラスは、どんな細菌やウイルス、寄生虫などの病原体を持っているのか分かりません。そのため、死骸の処理を自分で行う時には、使い捨ての手袋やマスクを装着して、直接触らないようにしてください。
また、死骸を処分した後は手洗いと消毒、うがいをして、衛生管理を徹底しましょう。
複数羽の死骸を同時に見つけたら自治体に連絡する
万が一、同じ場所で一度に複数羽のカラスが亡くなっているのを見つけたら、たとえ自分の所有地であっても、死骸を処分する前に各都道府県や市町村役場に連絡してください。
これは、高病原性鳥インフルエンザにかかっていた鳥だったかどうかを判断したり、場合によっては検査を行うために必要な措置です。
ちなみに、感染したカラスだったとしても、よほど濃厚に接触しない限り、カラスから人にウイルスが移ることはないとされています。
カラスの死骸を見つけたら適切に対応しよう
カラスは、記憶力や学習能力が優れているからこそ危険を回避できていることや、天敵が少ないがゆえに街中での死亡リスクが低いということをご紹介しました。
弱った後も、カラスは人目につかない自分の巣の中にい続けるため、死骸を見つけることはほぼありません。
けれども、もしもカラスの死骸を発見した時は、各自治体の担当部署と連携しながら適切に対応できると良いですね。