サボテンのIQは「3」?
インターネットやSNSなどでは、「サボテンには知能がある」「サボテンのIQは2~3だ」という情報がまことしやかに出回っています。しかし気になるのは、これらの情報はどこから出現して、なぜそう言われるようになったのかではないでしょうか?
サボテンには本当にIQがあるのかどうかを確かめてみましょう。
正式に測定された数値ではない
まず第一に、「サボテンのIQ(知能指数)が2~3である」という科学的根拠は存在しないようです。
確かにサボテンには、肉厚な茎に水分を貯められる仕組みがあったり、外敵から身を守るためのトゲを持っているなど、乾燥した環境下でも生き抜けるようにさまざまな戦略を備えた面白い植物であることに間違いありません。
しかし、サボテンはあくまで植物であり、人間のように読み書きや計算、記憶、問題解決能力などをテストし、知能指数として数値化できる生き物ではないため、サボテンのIQが2~3であると確実に断定することはできないのです。
サボテンの能力を知能指数で例えた結果が「IQ3」
そもそも、サボテンのIQが2~3だと言われるようになったきっかけは、どうやら人間が与えた刺激に対するサボテンの反応力にあるようです。
例えば、サボテンのそばで音楽を流してみるとトゲの角度をわずかに変えたり、日の当たる方向を変えると植物らしく太陽光を浴びるために向きを微調整する様子が見られたのだそう。
また、自然界にあっては、水分の蒸発を防ぐために茎を厚くする適応力を披露することもあるなど、環境が変化してもそれに合わせる能力が高い植物だと考えられています。
こうしたサボテンの能力を、比喩としてあえて人間と同じような知能指数で表した結果、2~3という数字が算出されたようです。
この他にも、SNSなどでサボテンのIQにまつわる「ネタ投稿」が広まったことで、サボテンのIQは3であると多くの人に認識されるようになってしまいました。
植物に「脳」は存在しないが知能はある?
実際のところ、植物には知能があるのかどうかについて考察した調査や研究はあります。
動物などから攻撃を受けたアカシアの木を観察すると、タンニン酸という不快なニオイのする物質を放出して、これ以上食べられないように身を守ろうとするのだとか。
さらには、周囲のアカシアの木々にもそのニオイが伝わると、まだ食べられていない木ですら危険を察知して、事前に防御反応を見せるという知能的な変化を見せるそうです。
また、ネナシカズラという寄生植物を用いた研究では、サンザシという木にネナシカズラを移してみたところ、栄養状態の良いサンザシの木ばかり選択し、栄養状態が悪いサンザシの木は拒絶するという結果も得られました。
これらの調査・研究から、一部の植物学者は「植物は問題解決能力を持っている=知能がある」と主張しています。ただし、植物には人間が思考する時に使う「脳」がないため、どのようにして知能を表現できているのかまではまだ分かっていないようです。
サボテンの「IQ2~3」説は正式なものではない
サボテンの知能指数が2~3であるという情報は、「物の例え」として挙げられたものという見方が強いようです。これらは、SNSなどのネタ投稿を通じて真実であるかのように広まったことで、有名にもなりました。
しかし、植物に知能や感情があるかどうかについては、まだまだ研究が進められている真っ最中。人間と同じような方法や基準を用いてIQとして数値化することはできないかもしれませんが、今後新しい発見や考え方が登場する可能性もあることでしょう。