イチョウが街路樹に多いのはなぜ? 臭いギンナンがあっても選ばれる理由

雑学

火にも剪定にも強いイチョウは街路樹向き

イチョウが街路樹に多い理由として、よく知られているのが火への強さです。

実際、イチョウは耐火性のある樹種として扱われています。ただし、街路樹に向いている理由はそれだけではありません。

道路沿いは、木にとって決して楽な環境ではありません。イチョウは病害虫に強く、大気汚染にも比較的耐えやすい性質があります。

さらに街路樹では、伸びた枝が信号や標識を隠したり、車道や建物にはみ出したりしないよう、枝を切って形を整える必要があります。この作業が剪定です。

イチョウは強い剪定にも耐えやすく、切ったあとに芽を出す力も強い木です。自然のまま大きく育てるのではなく、人が大きさや形を調整しながら育てる街路樹には、この性質が役立ちます。

秋になれば葉が鮮やかな黄色に染まり、街並みを彩ってくれるのも魅力です。火への強さ、病害虫や大気汚染への耐性、剪定への強さ、そして黄葉の美しさ

イチョウには、街路樹として使いやすい条件がいくつもそろっています。

東京では関東大震災より前からイチョウが街路樹だった

火に強いと聞くと、「関東大震災をきっかけにイチョウが街路樹として使われ始めたのでは」と考えたくなるかもしれません。

ところが、東京での植栽は震災より前に始まっています。

東京市では1907年にイチョウなどの街路樹用苗木の育成を始め、1910年から植栽を進めました。関東大震災が起きたのは1923年ですから、イチョウは震災より10年以上前から東京の街路樹として使われていたことになります。

その後、関東大震災を経て街路樹の防災上の働きが評価され、1927年から始まった帝都復興事業でも植栽が進められました。

「震災で火に強いことが分かり、そこで初めてイチョウが街路樹になった」という順番ではありません。すでに街路樹として使われていたイチョウが、震災後には防災面でも評価されるようになったのです。

臭いギンナンを避けるため雄木が選ばれる

これだけ街路樹向きの性質があっても、イチョウには街中では困りものになる弱点があります。秋に落ちるギンナンです。

ギンナンがなるのは雌木で、熟した実が地面に落ちると独特の強い臭いが広がります。人通りの多い道路なら、「それでもなぜイチョウを植えるの?」と思うのも無理はありません。

そこで自治体によっては、新しく植えるイチョウに実をつけない雄木を選ぶ例があります。横浜市でも、最近の街路樹では雄木を植えるようにしていると説明しています。

イチョウは、欠点がないから街路樹に選ばれているわけではありません。街路樹に向いた丈夫さや管理のしやすさを生かしながら、ギンナンのような弱点には人の手で対策を加えています。

秋のイチョウ並木は、木そのものの強さだけでできた景観ではありません。街路樹として使いやすいイチョウの性質と、それを街の中で使い続けるための工夫が組み合わさって成り立っているのです。

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