よく使うけど意外と知らない「サボる」の由来って?
毎日の生活の中で、「サボる」という言葉を使ったことがない人は、おそらくいませんよね。
でも、ちょっと待ってください。「サボる」って、そもそもどういう由来の言葉なのか、考えたことはありますか?
「そういえば、聞いたことはあるような……でも、はっきりとは覚えてないなぁ。」そんなふうに感じている人も、実は多いんじゃないでしょうか。
たしかに、普段から使い慣れすぎていて、言葉の由来まで深く考える機会って、あまりないですよね。
でも、身近な言葉の意外な歴史を知ると、ちょっとした発見があるものです。実は「サボる」という言葉、意外な国から日本にやってきた言葉なんですよ。
もともとはフランス語の「サボタージュ」だった
「サボる」という言葉の元になったのは、フランス語の「サボタージュ(sabotage)」という言葉です。
「サボタージュ」とは、本来「仕事を意図的に遅らせたり、妨害したりする行為」のことを意味しています。「サボタージュ」をすることで、自分たちの不満や主張を伝える労働運動が、19世紀末ごろのヨーロッパで頻繁に行われていました。
日本語の「サボる」は、この「サボタージュ」から派生してきたものなのです。
日本では、はじめは「仕事を意図的に妨害する」という強い意味で使われましたが、次第にもっと軽いニュアンスで使われるようになっていったんです。
もとは労働運動で使われた言葉
実際、日本で「サボる」が最初に使われ始めたのは、大正時代(1923年ごろ)のことでした。
当時の労働運動家が発行していた『労働新聞』という新聞で、初めてこの言葉が登場しました。そのときは今よりもずっと深刻な意味で、ストライキや労働条件への抗議を目的に、意識的に仕事を遅らせたり止めたりすることを表現する言葉でした。
当時の工場や職場では、労働者たちが権利を主張するために作業のスピードを遅くしたり、生産を一時的にストップしたりしていました。それがいわゆる「サボる」の原型である「サボタージュ」の具体的な使われ方でした。
今とはだいぶ違う印象ですが、言葉って歴史を経て、どんどん変化していくんですね。
戦後に日常語として定着した
最初は労働運動の用語として使われていた「サボる」ですが、戦後の社会の変化と共に、その意味は少しずつ変化していきました。
戦後、日本が復興期に入ると、人々の生活は豊かになり、教育制度も整備されました。そんな中で「サボる」という言葉は、もともとの「労働争議で意図的に仕事を遅らせる」という堅苦しい意味から離れ、学校や職場で「ちょっと怠ける」「息抜きをする」といった軽いニュアンスへと変化していったのです。
例えば、授業に出るのが面倒で友達とちょっとカフェに寄ったり、職場のランチタイムを少し長引かせて、ゆっくりおしゃべりしたり……。こうした日常的な場面で、気軽に使える言葉として定着していったのですね。
言葉は、使われる状況が変われば意味も自然に変わります。「サボる」という言葉も、社会が変わるにつれて自然に広がり、今では誰もが使える身近な表現となったのです。
まとめ
「サボる」という身近な言葉が、実はフランス語の「サボタージュ」から来ていて、最初は労働運動のための真面目な言葉だった……。意外な歴史ですよね。
普段何気なく使っている言葉も、ちょっとした歴史や背景を知るだけで、ずっと魅力的に感じられます。
友達や家族との会話の中で、「ねえ、サボるって実はフランス語だったんだよ!」と軽く話してみるのも面白いですよ。ちょっとした雑談に、言葉の由来を交えて話すと、会話も盛り上がりますよね。
日常の言葉に隠れた面白さを、ぜひ誰かと共有してみてはいかがでしょうか。