宇宙にあるブラックホールってなに?
「黒い穴」を意味するブラックホールは、SF映画などにもよく登場し、宇宙空間においては「何だか怖い暗闇」として多くの人が知る存在です。
名前のせいで誤解されがちですが、実はブラックホールは宇宙空間にぽっかりと開いた穴というわけではありません。その実体は、光すらも吸い込んでしまう高密度な天体の1種なのです。
また、ブラックホールは宇宙に1つだけあるのではなく、1億を超える数が存在しているとも言われています。現在見つかっているのはおよそ60個ほどですが、大きなものだと太陽の数百万倍以上のサイズにもなります。
一度落ちたら抜け出せない恐怖の空間
ところが、宇宙にまつわる情報の中ではとても有名であるにも関わらず、ブラックホールの内部に入ってみようという人はいません。なぜなら、ブラックホールは高密度な天体であるがゆえに内部の時空が歪み、強力な重力が発生しているからです。
一度でもブラックホールの中に落ちてしまうと、歪んだ時空に閉じ込められて、瞬間的な速さを誇る光ですら逃げ出すことはできなくなります。光のように速く動くことができない人間も、当然ながら二度と出てこられません。
このような光も抜け出せなくなるブラックホール内のギリギリの境界ラインを「事象の地平線」と呼びます。
NASA(アメリカ航空宇宙局)では、この事象の地平線を超えてブラックホールに落ちてしまった場合に起きる現象について、スーパーコンピュータを使ったシミュレーション動画も作成しています。
ブラックホールに落ちた人間は「スパゲッティ化」する
人間がブラックホールに落ちると、ブラックホールの中心に向かって引っ張られていきます。この時、人間の体にかかる重力は頭よりも足先にかかる分が強大になり、横側からも押しつぶす力が加えられることによって、細く引き伸ばされるようにバラバラになります。
「スパゲッティ化現象」と呼ばれるこのような状態になるまでには、ブラックホールに落ちてからたったの13秒ほどしかかかりません。
自分がスパゲッティになってしまう恐ろしい事態が起きるとわかっていながら、ブラックホールの中に入りたいと希望する人はきっといないことでしょう。
生き抜けたら宇宙の終わりが見られるかも?
時空が歪むほど強力な重力が発生しているブラックホールの内部では、外の宇宙空間とは時間の進み方も異なります。
もしも人間がブラックホールに落ちたら、あっという間に中心部へ引っ張られていくでしょう。しかし、ブラックホールの外からその様子を見ている人がいた場合、吸い込まれていく姿はとてもゆっくりに見えます。
これは、ブラックホールのように重力が強い場所では時間の流れが遅くなり、反対に重力が弱い場所では時間の流れが速くなるために発生する現象です。
ブラックホールに落ちた人間側から見れば、外の宇宙空間における時間は猛烈なスピードで過ぎ去っていくため、これから長い時間をかけて起こる宇宙の変化を確認できることになるかもしれません。
けれども実際には、スパゲッティ化現象から逃れることは不可能なため、あくまで夢物語となりそうです。
ブラックホールに落ちるのは危険!
「ブラックホールに落ちたらどうなるんだろう」と考えたことがあるという人はとても多いでしょう。中には、映画のように思わぬワクワクが広がっているかもしれないと想像する人もいるかもしれません。
けれども、恐ろしいほどの重力がかかるブラックホールでは、人間はすぐにバラバラになって命を落とすという最悪の結末が待っています。
ブラックホールの謎を解き明かしたり、内部を探検するというのは、そう簡単にはできないようです。