そもそも「お客様は神様です」ってどういう意味?
「お客様は神様です」という言葉が、そもそも三波春夫さんの舞台から生まれたことをご存知でしょうか?
彼はこの言葉を、舞台でお客様に対して最高のパフォーマンスを届けるための「心構え」として使っていました。実際、三波さんにとってお客様はただの「顧客」ではなく、自らが全力を尽くすべき崇高な存在であり、神社で祈るときのような真摯な気持ちで向き合うべき相手だったのです。
とはいえ、この言葉が独り歩きし、まるで「お客様は絶対的に優位である」という意味として広まってしまった背景には、漫才トリオ・レツゴー三匹の模倣や、時代の変遷といったさまざまな要因が関わっているようです。
このフレーズがどうしてここまで誤解され、広まってしまったのか、その背景をひも解いていきましょう。
「神様扱い」が引き起こしたサービス業の現実
「お客様は神様」というフレーズが誤解され、「顧客が神のように絶対的な存在」として扱われることが、現代のサービス業にどのような影響を与えているのでしょうか?
過剰な顧客対応が求められる中で、カスタマーハラスメント(カスハラ)や精神的な負担に悩む従業員が増え、サービス業界全体に深刻な影響を与えています。たとえば、飲食店での接客の場面でも、「お客様なんだから何をしてもいい」という態度で無理な要求をする顧客が増え、これが従業員のストレスとなっているケースも少なくありません。
こうした状況は、サービス業界での人手不足や離職率の高さにもつながっており、「お客様は神様です」というフレーズが思わぬ負の側面をもたらしている現状があります。
「神様」と「王様」の違い?日米の接客文化の違い
この日本特有の「お客様は神様」という考え方ですが、海外では「お客様は王様」と表現されることが多いようです。
特にアメリカでは「お客様は王様」とされつつも、王様も「人間」であり、法律に従う存在とされています。つまり、サービス提供者と顧客は対等な立場にあり、無理な要求には毅然とした態度で対応するのが一般的です。
たとえば、アメリカのホテルでは、お客様の態度に合わせた柔軟な対応がされる一方、無理な要求に対しては断ることが普通です。日本ではどうしても「お客様に尽くす」風潮が強く、接客スタイルに大きな違いが出ているのです。
こうした日米の接客文化の違いを知ると、「お客様は神様です」がいかに日本独特のものであるかが見えてきますね。
過剰なクレームへの対処法?お互いに心地よい関係を築くために
「お客様は神様」として顧客に接するあまり、クレームに悩まされる現場が増えていますが、従業員も顧客に振り回されるばかりではありません。健全なサービス関係を築くために、クレーマーへの対応方法や適度な距離感が重要です。
例えば、東京都内のある飲食店では、顧客の態度に応じてビールの値段を変えるなど、顧客に対する敬意を重視する対応が取られています。また、どのクレームに真摯に対応すべきか見極め、適度に距離を保ちながら対応することが、従業員と顧客の双方にとって心地よい関係を保つ秘訣です。
こうした工夫によって、過剰な「神様扱い」をせずとも、双方が満足する接客が可能になるのです。
「お客様は神様です」の言葉が残したもの
「お客様は神様です」という言葉が本来どのような意味を持ち、どのような背景から生まれたかを知ることで、現代の接客のあり方についても考えさせられます。このフレーズの真意を理解し、今の時代に合った形での顧客と従業員の関係を築くことが求められています。
ぜひ、この記事で得た知識を家族や友人とシェアしてみてください。このフレーズの本当の意味を伝えることで、私たちの社会が少しずつ、より良い方向へと向かうかもしれません。
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