『コク』とはいったいなんなのか?
みなさんは普段、料理を評価するとき「コク」という言葉を使うことが多いと思います。「コクがあって、美味しい」「コクが足りない」などとレビューされる方も多いことでしょう。しかし、本来の意味において実はコクがあること=おいしい、というわけではありません。今回は料理のコクに関する、面白い雑学をお届けします。
コクの正体は「複雑さ」「広がり」「持続性」の掛け合わせ
そもそもコクとは、味、香り、食感といったさまざまな刺激が総合的に組み合わさった感覚のこと。コクを感じるためには、刺激の複雑さに加え、空間的な広がりと持続性が必要とされています。
分かりやすく言うと、コクは「複雑さ」「広がり」「持続性」の3つの要素で表される総合的な感覚となります。つまり、コクとはおいしさを判断するひとつの要因でしかないのです。
コクの「複雑さ」
ここからはコクを構成する3要素について詳しく説明していきます。まずは、コクの「複雑さ」。
ここでいう「複雑さ」とは、料理に含まれる成分がどれだけ多いかを表現しています。調理時間が長いほどその種類が増えます。結果的に、複雑さの指数が高いと、料理を味わったときにより複雑な味わいを感じるのです。
分かりやすい例を挙げましょう。例えば、醤油などの発酵食品は、熟成期間が長くなるほど成分が増え、深い風味が生まれます。もう一例、煮込み料理のように長時間加熱する料理では、素材から多くの味成分が引き出され、結果として「コクがある」と感じやすくなります。要するに調理時間と成分の多さが、コクの「複雑さ」に大きく関わっているのです。
コクの「広がり」
続いてはコクの「広がり」。コクを構成する2つ目の要素「広がり」は、『食べ物を口に入れてから飲み込むまでに、喉から鼻腔に広がる「口中香(口の中の香り)」をどのくらい感じられるか』という指標です。
香りと聞くと、おいしさと関係ないように思えますが、実は嗅覚は、食べ物の美味しさを感じる上で重要な器官。たとえば、風邪で鼻が詰まると何を食べても味が分からないですよね。これは鼻が詰まり嗅覚が働いていないため。口の中の香りや嗅覚は食べ物の風味を感じるために必要不可欠なのです。
コクの「持続性」
最後に紹介するのはコクの「持続性」。コクにおける「持続性」とは、食べ物の味や香りがどれだけ長く感じられるかを指します。この持続性を高めるのに重要な役割を果たすのが脂。脂は香り成分を溶け込みやすくし、舌や鼻の粘膜に留まりやすいため、食べた後にも心地よい余韻を感じられます。
脂そのものには味や香りがありません。ただ、調理中に脂にさまざまな成分が溶け込むことで、深みのある風味が生まれ、「美味しい」と感じられるのです。つまり脂がコクにおける持続性を高め、料理の美味しさを際立たせるのです。
料理でコクを感じたら今回の雑学を思い出してみよう
今回の雑学を振り返りましょう。料理におけるコクとは「複雑さ」「広がり」「持続性」の3つの要素で表される総合的な感覚。そしてコクとは、おいしさを判断するひとつの要素となります。
今回の雑学、料理でコクを感じたときに思い出してみてください。きっと料理がもっと美味しく感じられることでしょう。
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