「かわいい」の意外な語源と歴史的変遷
「かわいい」の語源って知っていますか?意外かもしれませんが、「顔が火照る」という意味だったんです。平安時代に使われていた「かはゆし」という言葉が始まりで、当時は「恥ずかしい」「照れくさい」という意味で使われていました。
思春期の男女が出会って顔を赤らめるような、そんな場面で使われていた言葉が、今では赤ちゃんやペット、かわいらしい雑貨など、幅広い対象に使われています。これって、なんだか運命的な言葉の旅路を感じませんか?
時代とともに「かわいい」の意味は大きく変化していきました。室町時代には「気の毒」「かわいそう」という意味合いが強くなり、「失敗してかわゆい(かわいそう)」なんて使い方をしていたそうです。まるで、今の「それな」が最初は「其れ」という指示語だったことを知るような驚きですよね。
昔の日本語で「かわいい」はこんなに種類があった
平安時代から江戸時代にかけて、「かわいい」を表現する言葉は実に豊富でした。それぞれの言葉には、微妙な違いや独特のニュアンスがあったんです。
なかでも面白いのが「らうたし」という言葉。「可愛すぎて心が痛くなるほどの愛情」を表現するときに使われました。現代でいう「かわいすぎて食べちゃいたい!」に近い感覚でしょうか。昔の人も、私たちと同じように「かわいい」に夢中だったんですね。
「いとほし」という言葉も興味深いです。「いと」は「とても」という意味の接頭語で、「ほし」は「欲しい」から来ています。つまり「とても大切にしたい」という気持ちを表していたんです。源氏物語にも頻繁に登場する言葉で、光源氏が若紫に対して「いとほし」と感じるシーンは、まさに平安時代の「かわいい」文化を象徴していると言えます。
「かわいい」を表す昔の言葉たち
「かわいい」を表す古い言葉には、まだまだ奥深い魅力があります。「うつくし」という言葉、実は現代の「美しい」とはちょっと違う意味で使われていたって知っていましたか?小さな子どもや可愛らしいものを表現するときによく使われていたんです。
例えば、「うつくしき子」と言えば、今でいう「かわいい子」という意味になります。時代とともに「美しい」という意味に変化していったんですね。言葉の意味って、こんなふうに少しずつ形を変えていくものなんです。
「あいぎゃう」という言葉も素敵です。現代の「愛嬌(あいきょう)」のルーツとなった言葉で、人の心を魅了するような可愛らしさを表現していました。枕草子にも登場するこの言葉、清少納言が好んで使っていたそうです。当時の宮廷生活の中で、どんな場面で使われていたのか想像すると楽しいですよね。
地方に残る「かわいい」の方言と独特の表現
実は、「かわいい」を表す言葉は地域によっても違いがあったんです。例えば「めんこい」という言葉。主に東北地方や北海道で今でも使われている方言で、「かわいい」とほぼ同じ意味です。
「めんこい」の語源については諸説あって、「めぐみ(恵み)」から来ているという説や、「目に恋う(こう)」という表現から来ているという説があります。どちらの説も、対象への深い愛情が感じられる素敵な解釈ですよね。
「かなし」という言葉も面白いです。現代では「悲しい」という意味ですが、昔は「愛し」という漢字を使って「愛おしい」という意味で使われていました。赤ちゃんや子どもを見て「胸が締め付けられるような気持ち」を表現していたんです。切なさと愛おしさが混ざり合った、なんとも繊細な感情表現ですよね。
江戸時代から現代へ「かわいい」はこう変化した
江戸時代になると、「かわいい」は現代に近い「愛らしい」「愛おしい」という意味で使われるようになりました。でも、使われ方は今とはだいぶ違っていました。主に子どもや小動物に対して使う言葉だったんです。
それが今では、なんと中年のおじさんに対しても「かわいい」って使えちゃいます。例えば「いつも怖い顔してる部長が、好きなアイドルの話になると目を輝かせるの、かわいい~」なんて使い方。昔の人が聞いたら、きっと目を丸くするでしょうね。
実は、これって日本語の「かわいい」の特徴的な進化なんです。相手の意外な一面や、ちょっとした弱みを見つけたときに使う「親密さの表現」として発展していったんですね。
世界が注目!「KAWAII」文化の新しい魅力
さらに面白いことに、日本語の「かわいい」は世界共通語「KAWAII」として認知されるようになってきています。ファッション、アニメ、キャラクターグッズなど、日本発の「かわいい」文化は、もはや世界的なムーブメントの一つです。
例えば、パリのファッションショーで「KAWAII style」というキーワードが使われたり、ニューヨークのアートギャラリーで「KAWAII art」が展示されたり。かつて「恥ずかしい」を意味していた言葉が、こんなにグローバルな文化を表現する言葉に成長するなんて、誰が想像できたでしょうか。
「かわいい」の変遷から見える日本語の豊かさ
「かわいい」という言葉の歴史を辿ってみると、日本語の奥深さと豊かさが見えてきます。平安時代の「顔が火照る」という意味から、現代の多様な使い方まで、時代とともに意味を広げながら進化してきた「かわいい」。
この話、友達や家族に教えてあげると、きっと「へぇ~!」って言ってくれるはずです。普段何気なく使っている言葉の中に、こんなにも面白い歴史が隠れているなんて、素敵じゃないですか?
次に「すごい」という言葉を使うとき、その言葉にも似たような歴史があるのかも、なんて考えてみると、日本語がもっと楽しくなりそうですね。言葉の歴史を知ることで、普段の会話も少し違って聞こえてくるかもしれません。
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