あんぱんの上のゴマ事情
あんぱんを買うとき、「つぶあんで!」「こしあんください!」と中身にはこだわるのに、上に乗っているゴマのことを気にする人はほとんどいませんよね。でも、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?なぜあんぱんの上にはゴマが乗っているんでしょう。単なる飾り?それとも味付けのため?
実は、あんぱんの上のトッピングには、パン屋さんたちの知恵が詰まっているんです。しかも、私たちが「ゴマ」だと思っているあの白い粒、実はゴマじゃないものかもしれないんです。
あんぱんの上のトッピングに隠された意外すぎる理由
「え?ゴマじゃないの?」という疑問が浮かんだかもしれません。実は、あんぱんの上に乗っているのは、ごまだけではないんです。パン屋さんによって、ゴマだったりケシの実だったり、時には桜の塩漬けだったり。これには、とても面白い理由があります。
それは、中身を間違えないようにするための「暗号」なんです。そう、パン屋さんの知恵が詰まった、ちょっとした工夫だったんです。例えば、老舗の木村屋総本店では、こしあんにはケシの実、つぶあんには黒ゴマ、白あんには白ゴマを使い分けているんです。
- つぶあん:黒ごま
- 白あん :白ごま
- こしあん:ケシの実
まるで、パン屋さんたちの「内緒の目印」みたいですよね。私たちは気づかないうちに、パン屋さんたちはこの小さなトッピングを頼りに、あんこの種類を間違えないように工夫していたんです。
ケシの実って大丈夫なの?あんぱんの上の白い粒の正体
「ケシの実と聞いて、ちょっとドキッとした方もいるかもしれませんね。でも、ご安心ください。あんぱんに使われているケシの実は、私たちの健康に影響のない、特別な種類のものなんです。
食用のケシの実は、発芽しないように特殊な加熱処理が施されています。これは農林水産省がしっかりと管理している食材なんです。むしろ、ケシの実には鉄分やミネラルがたっぷり。ゴマと同じように、昔から日本の食文化で使われてきた食材なんです。
そういえば、ケシの実とごまの大きさには、かなり差があるんです。ケシの実は0.5ミリほどしかないのに対して、ごまは3~4ミリもあります。「ケシ粒ほどの大きさ」という言葉、納得ですよね。この小ささが、実はあんぱんの上で絶妙な存在感を演出しているんです。
明治時代から続く、あんぱんトッピングの歴史秘話
このトッピングの文化、実は明治時代から続いているんです。1874年(明治7年)、木村屋がはじめてあんぱんを作ったとき、その上にはケシの実が乗せられていました。
なぜケシの実を選んだのか、その理由ははっきりとはわかっていません。当時のパンを参考にしたという説や、和風のイメージを出すためだったという説もあります。ただ、このアイデアが見事に的中し、以後150年もの間、パン屋さんの「お約束」として続いているんです。
パン屋さんごとのトッピングルール
面白いことに、パン屋さんによってトッピングのルールが少しずつ違うんです。
例えば、山崎製パンでは高級粒あんにケシの実、白あんパンには白ゴマを使用。一方、木村屋では小倉あんはトッピングなし、うぐいすあんには青えんどう豆を乗せるなど、それぞれにこだわりがあります。
これって、まるでパン屋さんの「方言」みたいですよね。地域や店舗によって少しずつ違う、でも基本的な「文法」は同じ。そう考えると、あんぱんの上のトッピングって、パン屋さんたちの「言葉」なのかもしれません。
パン屋さんの知恵袋、みんなに教えたくなる雑学の宝庫
あんぱんの上のトッピング、ただのゴマだと思っていたものが、実はパン屋さんたちの長年の知恵と工夫が詰まった「暗号」だったなんて、驚きですよね。
次にパン屋さんであんぱんを見かけたとき、ぜひトッピングにも注目してみてください。「このあんぱん、上に乗ってるのケシの実なんだよ。パン屋さんの暗号なんだ」なんて話をすれば、きっと会話が盛り上がること間違いなしです。
150年以上も前から続く、パン屋さんたちの知恵。私たちが何気なく食べているあんぱんの上には、そんな素敵な歴史が隠されていたんですね。