『大聖堂』と『教会』
教会と聞くと、多くの人が礼拝を行う神聖な建物を思い浮かべるでしょう。しかし、「大聖堂」と「教会」は同じものではなく、ちょっとした違いがあります。そのカギを握るのは「司教の椅子」です。
今回は大聖堂・教会に関する面白い雑学をお届け。最後までお読みいただくと、大聖堂と教会について、より詳しくなれることでしょう
大聖堂とは
そもそも大聖堂とは、キリスト教における主教区(一定地域を管轄する教区)の中心となる「教会」のこと。つまり、大聖堂も教会の一種なのです。
大聖堂には「司教座」と呼ばれる司教専用の特別な椅子が設置されています。この椅子が置かれた教会こそが「大聖堂」。司教がこの椅子に座るかどうかで、大聖堂は一般の教会とは区別されます。
キリスト教では、教区と呼ばれる一定の地域ごとに司教が任命されます。そして、司教が拠点とする教会が「大聖堂」と呼ばれるのです。そのため、大聖堂は各教区に必ず一つ存在します。「大きな聖堂だから大聖堂」ではなく、教区全体を統括するため、結果として規模の大きな教会になるのです。
余談ですが、「大聖堂」は英語やフランスでは「カテドラル(Cathedral)」と書きます。その語源はラテン語の「カテドラ(Cathedra)」…つまり、司教の椅子を指します。
教会とは
「教会」という言葉を聞くと、多くの人が礼拝を行う建物を思い浮かべるかもしれません。しかし、本来の意味はそれだけではありません。教会の語源は、ギリシャ語の「エクレシア(ekklesia)」。「人々の集まり」を意味します。つまり、「教会」にはキリスト教信者の集まりと信者が集まる場所という二つの意味があるのです。日本語で「教会」と書くのは、「キリストの教えを伝える場」であることが由来となっています。
また、キリスト教には教会を統括する仕組みがあり、地域ごとに役割が異なります。たとえば、大きな単位である「教区」をまとめるのが司教で、その司教が拠点とする教会が「大聖堂」です。一方、小さな単位である「小教区」をまとめるのは司祭。その司祭が責任を持つ教会が、一般的に「教会」と呼ばれるものです。
『大聖堂』と『教会』の違い
それでは本題である大聖堂と教会の違いを下記にまとめてみました。
- 大聖堂(カテドラル):司教がいる教会(教区の中心となる教会)であり、「司教座(カテドラ)」が設置されている。教区ごとに1つだけ存在する
- 教会(チャーチ):信者が集まる一般的な礼拝施設のこと。司教ではなく司祭が責任者を務め、教区内に複数箇所ある。
つまり、大聖堂は教区全体を統括する司教の拠点であり、特別な役割を持つ教会です。一方、教会は信者が集まり礼拝を行う場で、大聖堂ほどの厳密な条件はありません。
今回の雑学、教会や大聖堂を訪れたときにでも思い出してみてください。
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