時計の広告の針をよく見てみると…
アナログ時計の広告やカタログをよく見ると、不思議な共通点に気づくことがあります。それは、ほとんどの時計が「10時10分」を指していること。なぜこの時間なのか…気になりませんか? もちろん単なる偶然ではなく、そこにはブランド戦略に関わる意外と深い理由が隠されているのです。
今回は、時計広告における「10時10分」の秘密をわかりやすく解説します。最後までお読みいただくと、ちょっぴり時計博士に一歩近づけることでしょう。
時計の広告において針が「10時10分」を指している理由
前述したようにアナログ時計の広告を見ると、どのメーカーの製品でも、針がだいたい10時10分あたりを指しています。これは世界共通の“お約束”のようなもの。
「10時10分」が選ばれている理由のひとつは、時計の文字盤の上部(12時の位置)にロゴが配置されていることが多いから。10時10分にすると針がブランドロゴに重ならず、視認性が保たれます。また、左右対称に針を配置することで見た目のバランスが整い、より美しく印象的なデザインになるという効果もあるそうです。
たとえば日本の時計メーカー・セイコーでは、針の角度や全体のバランスにまでこだわり、カタログ用の時刻を「10時8分42秒」に統一しているのだとか。この秒針の位置が、時針・分針との調和をもっとも美しく見せるとされており、昭和12年から現在まで一貫して採用されているのです。
昔は「10時10分」以外だったことも
針を美しく配置する理想的な時刻は、実は10時10分だけではありません。たとえば7時22分など、他にも左右対称に見える時間は存在します。10時10分が主流になる前は、8時20分がよく使われていた時期もあったのだとか。
ところが、8時20分だと「下がり眉」のような針の配置となり、どこか元気がなく、沈んだ印象を与えてしまうという声もありました。時計の針の位置が10時10分になり始めたのは、アメリカの大恐慌時代。とある時計店の店員がすべての時計を10時10分に直して「Vサイン」に見立ててみたそうです。すると、明るい印象が好評を呼び、以後この時刻が定番になったという話があります。
時計の広告を見かけたら今回の雑学を思い出してみよう
今回の雑学を振り返ってみましょう。
時計の広告で針が「10時10分」を指しているのは、ブランドロゴを隠さずに見せられるうえ、左右対称で見た目が美しく整って見えるからです。
今回の雑学、時計の広告を見かけたら思い出してみてください。もしかすると、オシャレな時計が欲しくなるかもしれませんよ。