人間の目では『見ることができない色』がある!?どんな場所に存在しているの?

雑学

人間の目で見える色には限りがある

人間の目は、光に反応して「赤」「緑」「青」の波長を見分ける3種類の錐体(すいたい)細胞を持ち、脳が「色」を認識するための電気信号を送っています。これらがどのように組み合わされるかによって、人は100万色を識別できるとも言われているほど。

しかし、人間の目で捉えることができる光には限りがあり、これを「可視光線」と呼びます。見える光を色で表すと、「赤」「橙」「黄」「緑」「青」「藍」「青紫(バイオレット)」の7つとなり、人間はこの領域の中で細かな色の識別をしているのです。

こういった人間の目でも見える光の波長に対応する「スペクトル色」がある一方で、人間の目が捉えられない範囲に存在する光の波長もあります。

それは、多くの人が知っているであろう紫外線や赤外線。これらは、人間の目では見えない「非スペクトル色」として空間には存在しているものの、人間がそのまま色として捉えることはできません。

鳥類や爬虫類は人間には見えない色が見えている

「紫外線」を認識する目の仕組み

ところが、自然界にはこの非スペクトル色を感知しながら生きている生物も存在します。

鳥類や爬虫類、昆虫類などに多いと考えられていますが、これらの生き物は4色型色覚として目の錐体細胞を4種類持っていて、人間が見ることのできない紫外線まで色として認識しているというのです。

つまり、3種類の錐体細胞を持つ3色型色覚が一般的な人間とは、異なる世界が見えているに違いありません。中でも有名なのは、アメリカでの調査実験によって非スペクトル色が見えていることが明らかとなった「ハチドリ」です。

ハチドリの色覚を明らかにした実験

ハチドリは、エネルギー源として花の蜜を摂取しながら生きている鳥です。実験を始めるにあたって、まずは花の蜜にそっくりな「砂糖水」と「真水」を入れた給餌器が用意されました。

砂糖水には「紫外線と緑」を混ぜた光、真水にはごく普通の「緑」の光で照らしておき、ハチドリが正しく砂糖水を選ぶことができるのかを試していきます。

紫外線を色として認識できない人間には、どちらも同じ緑色に見えるため、光の色だけでどちらが砂糖水かを当てるのはとても困難です。ところがハチドリたちは、定期的に給餌器の場所が変えられたりしても、毎回必ず紫外線と緑の光が導く砂糖水の入った給餌器を選んでみせました。

これは、ハチドリが紫外線と緑の光をたよりに、砂糖水を見つけていたことを意味します。実際に、自然界で花から蜜を吸う時にも、ハチドリは紫外線がよく反射する花びらを目印に食事場所を見つけているようです。

色の見え方は人によって異なる

3色型色覚の人間と、4色型色覚のハチドリでは、見えている色が違うことが判明しましたが、実は人間同士でも色の見え方が異なるケースもあります。

色覚異常(色覚特性)

色を認識するセンサーとなっている錐体細胞に異常があると、違う色なのに同じ色に見えるなど、色の違いが分かりにくくなる「色覚異常(色覚特性)」が現れます。

色覚異常の人が判別しづらい色の例を挙げると、赤と緑、茶色と緑、橙と黄緑、緑と灰色、青と紫などです。

その重篤度は人によって違いますが、色覚異常は決して珍しいものではありません。病気などで後天的になることもあれば、生まれつきの場合でも日本人男性の20人に1人、日本人女性の500人に1人の割合で、色覚異常を持っています。

4色型色覚を持つ人も存在する!?

さらに、世界には4色型色覚を持つ人もいるのではと言われています。ハチドリのように紫外線を認識しているのではなく、赤・橙・黄の細かな色合いを見分けていて、3色型色覚の100倍となる1億色の世界を見ているのだとか。

男性よりも女性に多い、世界に数人しかいないなど、まだまだ詳しい情報は不明なため、これからの調査が待たれます。

人間はすべての色を認識しているわけではない

人間の目は、多くの色を認識することができます。しかし、自然界を見渡してみると、人間が見ることのできない紫外線の色を見分けながら生きているハチドリのような存在も。

また、人間の間でも、色の見え方はひとりひとり違います。自分とは違う生き物や人が見る色の世界がどんなものなのか、興味は尽きませんね!

こんな記事も読まれています

3月29日は『マリモ記念日』…その由来とマリモの不思議な魅力に癒やされる日

『セロテープ』と『セロハンテープ』の違いとは?意外と知らない文房具の真実