刺身の添え物「けん」と「つま」
刺身の盛り合わせに添えられている「けん」や「つま」。普段何気なく食べているかもしれませんが、実はそれぞれに意味や役割があるのをご存じでしょうか?どちらも刺身を引き立てる大切な存在ですが、その違いを正しく説明できる人は意外と少ないかもしれません。
今回は、刺身の「けん」と「つま」の違いをわかりやすく解説。刺身をより楽しむための知識として、ぜひチェックしてみてください!
刺身における「けん」とは
まずは、刺身における「けん」とは何かから。刺身に添えられる「けん」は、料理の見た目や風味を引き立てるための飾りの一種。本来、「あしらい」と呼ばれる盛り付けの要素のひとつで、「つま」や「薬味」とともに分類されます。しかし、一般的には料理に添えられたり下に敷かれたりするもの全般を「つま」と呼ぶことが多め。そのため、「つま」と一括りにされることも少なくありません。
本題に戻りましょう。「けん」は、食材を細く千切りにして盛り付ける飾りのこと。語源は「剣」のように鋭い形状からきています。代表的な食材には大根やにんじん、きゅうりがあり、特に大根の細切りはよく目にするでしょう。刺身の下に敷いたり、立体的に盛り付けることで見た目を華やかにするだけでなく、生臭さを和らげる効果もあります。さらに、口直しや消化を助ける役割も果たすため、単なる飾りではなく食べても意味のある存在です。
それでは「つま」とは
上記でも少し述べましたが、「つま」とは「けん」同様あしらいの一種。刺身の手前や横に添えられる食材のことで、料理の彩りを良くし、風味を引き立てる役割があります。代表的なものには、大葉、わかめなどの海藻類、レモンやすだちといった柑橘類、食用菊や花穂(かすい)などがあります。
主役となる料理を引き立てることから「妻」、また、お皿の端に添えられることから「褄」という字が当てられることもあります。
見た目を華やかにするだけでなく、刺身の生臭さを抑えたり、鮮度を保つ役割も果たします。特に柑橘類は、酸味を加えて味をさっぱりさせる効果もあり、料理全体の印象をより魅力的にしてくれます。
『けん』と『つま』の違い
簡単に言うと、「つま」は刺身の横に添えられるもので、「けん」は刺身の下に敷かれるものです。また、「つま」には海藻や柑橘類など幅広い食材が使われますが、「けん」は主に千切りの野菜が用いられます。ただ、上記でも少し述べたように近年では、「けん」も「つま」として扱うケースが増えてきています。
どちらも刺身を引き立てる大切な存在。味や見た目、風味を豊かにしてくれる役割があります。
あしらいにはもうひとつ「辛み(薬味)」がある
余談ではありますが、最後にもう一つのあしらい「辛み(薬味)」についても解説します。薬味は、料理の風味を引き立て、刺身などの生臭さを和らげるために使われます。代表的なものに、わさび、しょうが、みょうがなどがあり、それぞれ独特の香りや刺激があります。ピリッとした辛みや爽やかな香りが特徴で、魚の種類に合わせて選ぶことで、より美味しく味わうことができます。
今回の雑学をきっかけに、ぜひ刺身に添えられているあしらいも目で楽しんでから食べてみてください。