『点心』と『飲茶』
中華の楽しみといえば「点心」や「飲茶」が挙げられます。どちらも似たようなイメージを持たれることが多いですが、実はそれぞれ意味に違いがあることをみなさんご存じでしょうか?
今回は、「点心」と「飲茶」の違いをわかりやすく解説します。中華料理をもっと深く味わいたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも『点心』とは何か?
点心とは、もともと中国語で「軽めの食事」や「ちょっとしたつまみ」を意味する言葉です。お菓子やおやつのような甘いものも含まれるため、いわば広い意味での軽食といえるでしょう。
明確な定義はありませんが、一般的には主菜やスープ以外の料理が点心とされることが多く、食べる時間帯によって呼び名も変わります。たとえば、朝に食べる軽食は「早点(ザオディエン)」、午後のおやつタイムには「午点(ウーディエン)」、そして夜食にあたるものは「晩点(ワンディエン)」と呼ばれます。いずれにせよ、それぞれ小腹を満たすための軽めの料理として親しまれています。
また、点心は内容によっていくつかの種類に分けられています。
- 鹹点心(シェンテンシン)
- 甜点心(テンテンシン)
- 小吃(シャオチー)
- 果子(グオズ)
まず、肉まんや小籠包、餃子など、塩味のある料理は「鹹点心(シェンテンシン)」に分類されます。次に、ごま団子や杏仁豆腐など、甘みのあるものは「甜点心(テンテンシン)」と言い、中華コースではデザートとして登場します。
さらに、「小吃(シャオチー)」と呼ばれる種類では、通常はメイン料理として出されるような料理を小皿に盛り付けて提供します。たとえば、エビチリや酢豚といった料理でも、量や出し方によっては点心として楽しむことができるのです。
最後に「果子(グオズ)」は、果物やナッツなど、そのまま食べられる自然な素材が含まれます。ドライフルーツなどもここに分類され、気軽なおやつとして食べられるのが特徴です。
それでは『飲茶』とは?
「飲茶」は、中国における「点心」をつまみながら中国茶を楽しむ食文化のこと。単に食事をするというよりも、家族や友人との団らんを楽しみながら、ゆったりと過ごすのが飲茶の特徴です。
飲茶の起源は古く、唐の時代にまでさかのぼります。人々が茶館や茶室に集まり、香り高いお茶を味わいながらくつろぐ中で、軽くつまめる食べ物…たとえば干し果物やナッツのような茶菓子が提供されていたそうです。こうしたお茶うけが発展していき、現在の点心文化へとつながっていったと考えられています。
ここで注意したいのは、「点心」と「飲茶」が指すものはまったく異なるということ。点心は、小籠包やシュウマイ、ごま団子といった個々の料理を意味する一方で、飲茶はそれらの点心を楽しむ食事スタイルを表しています。
つまり、『点心は料理そのもの、飲茶はその楽しみ方』。今回の記事を参考に、似ているようで異なる「点心」と「飲茶」を、ぜひ正しく使い分けてみてください。