クリスマスリースの意味と由来とは?古代ローマから続く歴史と飾る理由

雑学

クリスマスリースに込められた想い!知るほど深まる魅力

クリスマスが近づくと、街中で見かけるようになるクリスマスリース。お店の入り口や、マンションの廊下を歩いていると、ふと目に入る丸い形の緑の飾り。「かわいいな」「素敵だな」と思って眺めるだけで心が温かくなりますよね。

実は、このクリスマスリースには深い歴史があり、先人たちの様々な想いが込められているんです。花や実、リボンなど、一つひとつの飾りにも意味があり、それを知ることでクリスマスリースの魅力は何倍にも広がります。

例えば、あなたの家の玄関に飾られているクリスマスリースには、ヒイラギの葉や赤い実が使われているかもしれません。このヒイラギには「魔除け」の意味があり、葉の形が鋭いことから、古くから家族を守る象徴とされてきました。まさに、玄関に飾る意味が込められているわけです。

古代ローマから続く歴史!クリスマスリースが生まれた理由

クリスマスリースの歴史は、意外にも古代ローマ時代にまで遡ります。当時、「月桂樹(げっけいじゅ)」(※1)の葉で作った輪飾りは、勝利や栄光の象徴として大切にされていました。戦いで勝利した将軍や、詩の競技会で優勝した詩人たちに贈られ、まさに誇りの証だったのです。

古代ローマでは、12月31日から1月4日までを新年の祝賀期間としており、この時期に常緑樹の枝を贈り合う習慣がありました。これは、一年中緑を保つ木の生命力に、相手の健康と幸せへの願いを込めた贈り物でした。その枝を輪の形に曲げて贈ることが流行し、それが今日のリースの原型となったと言われています。

時代が進むにつれ、この習慣はヨーロッパ各地に広まっていきました。特に寒い地域では、厳しい冬を乗り越えて青々とした葉を茂らせる常緑樹への憧れが強く、その生命力は希望の象徴とされました。

そして4世紀、ローマ帝国がキリスト教を国教として認めると、これまでの文化とキリスト教の教えが自然と融合していきました。それまでの「勝利」や「幸せ」の象徴だったリースに、「神の永遠の愛」という新たな意味が加わったのです。

※1:月桂樹(げっけいじゅ)は、香りの良い常緑樹で、現代では月桂樹の葉(ローリエ)としてカレーやシチューなどの料理に使われています。古代ギリシャ・ローマでは神聖な木とされ、今でもオリンピック優勝者に贈られる月桂冠の素材として知られています。

クリスマスリースを玄関に飾る4つの深い意味とは?

クリスマスリースは、単なる季節の装飾品ではありません。実は、人々の様々な願いや祈りが込められた、とても意味深い存在なのです。

まず第一に「魔除け」としての意味があります。特に玄関に飾られることが多いのは、この理由が大きく関係しています。クリスマスリースでよく使われるヒイラギやモミなどの常緑樹は、厳しい冬を越えても緑を保つ強い生命力から、古くから魔力を持つとされてきました。葉に含まれる成分には実際に抗菌作用があることも、この言い伝えの理由の一つかもしれません。

二つ目は「永遠の愛」を表現しています。リースの丸い形には始まりも終わりもありません。この途切れることのない輪の形は、永遠という概念を表現しているのです。キリスト教の教えと結びつき、「神からの永遠の愛」という深い意味を持つようになりました。

三つ目は「豊作祈願」です。寒い冬を前に、来年の豊かな実りを願う気持ちが込められています。リースに飾られる赤いリンゴや松ぼっくりには、まさにその願いが表現されているのです。面白いことに、この考え方は日本の正月飾りに込められた意味とよく似ています。

そして四つ目は「ウェルカムの想い」です。特に生の植物を使ったリースからは、モミやシナモンの香りが漂い、訪れる人を優しく出迎えてくれます。「寒い中、ようこそいらっしゃいました」という、温かな気持ちを表現しているのです。

クリスマスリースが持つ4つの意味
意味 説明
魔除け 常緑樹の生命力で家族を守る。特に玄関に飾る理由の一つ
永遠の愛 途切れない輪の形が表す神からの永遠の愛の象徴
豊作祈願 来年の豊かな実りを願う気持ちを込めた祈り
ウェルカム 訪れる人を香りと共に温かく迎える心遣い

クリスマスリースの飾りに込められた素敵な物語

クリスマスリースを飾る時、「このリボンかわいいな」「この実の色がきれいだな」と思って選んでいる方も多いはず。実は、それぞれの飾りには意味深い物語が隠されています。

中でも印象的なのが、リースの色使いです。クリスマスカラーとして知られる赤・緑・白、それぞれに特別な意味が込められています。赤は「神の愛」や「太陽の炎」を表現し、緑は「永遠の命」や「生命力」を象徴します。そして白は「純潔」や「清らかな心」を表しています。

ヒイラギの葉には、感動的な物語が隠されています。鋭いトゲのある葉は、キリストがかぶった「いばらの冠」を思い起こさせるといわれ、その赤い実は「流された血」を表現しているのです。一見厳かに見えるこの植物には、深い愛の物語が込められているわけです。

リボンやベルにも面白い言い伝えがあります。固く結ばれたリボンには「魔除け」の効果があると信じられ、ベルの音色には「喜びの知らせ」という意味が込められています。イエス・キリストの誕生を知らせたのも、ベルの音だったという言い伝えが、この由来となっています。

※2:シナモンスティックを飾りに使うのは、その香りに「魔除け」の効果があると考えられていたためです。昔のヨーロッパでは、オレンジにシナモンを刺した「ポマンダー(※3)」を作り、部屋に飾る習慣がありました。
※3:ポマンダーは、柑橘類の皮にクローブやシナモンを刺して作る伝統的な芳香剤です。クリスマスの装飾品として今でも親しまれています。

クリスマスリースの装飾と意味
装飾 込められた意味
赤色 神の愛、太陽の炎、生命力
緑色 永遠の命、生命力、希望
白色 純潔、清らかな心、雪
ヒイラギ いばらの冠の象徴、魔除け
リボン・ベル 魔除け、喜びの知らせ
シナモン 魔除け、来客への歓迎

クリスマスリースを飾るタイミングと楽しみ方のヒント

ここまでクリスマスリースに込められた様々な意味を見てきましたが、実は飾る期間にも興味深い背景があります。

ヨーロッパでは、クリスマスの約4週間前からリースを飾り始めます。この期間は「アドベント(※4)」と呼ばれ、クリスマスを心待ちにする特別な時期とされています。そして、リースは1月6日の「公現祭(※5)」まで飾られ続けるのが一般的です。

一方、日本では12月に入ってから飾り始め、クリスマスが終わるとすぐに片付けてしまうことが多いようです。でも、実はリースの持つ「豊作祈願」や「魔除け」の意味を考えると、お正月まで飾っておくのも素敵なアイデアかもしれません。

中には、クリスマスの飾りを外して、お正月用の飾りに付け替えて楽しむ方もいます。これは、リースの持つ本来の意味「永遠」や「循環」にもぴったりですよね。季節の移り変わりを感じられる、素敵な楽しみ方の一つと言えます。

※4:アドベントとは、ラテン語で「到来」を意味する言葉です。キリストの降誕を待ち望む期間を指します。
※5:公現祭は、東方の三博士がイエス・キリストを訪ねた日を記念する祝日です。日本では馴染みが薄いですが、欧米では重要な祝日とされています。

クリスマスリースが教えてくれる、冬の過ごし方

クリスマスリースには、昔の人々の知恵が詰まっています。厳しい冬を乗り越えようとする人々の願いや、大切な人を想う気持ちが、形となって表現されているのです。

例えば、シナモンやモミの香りには、実際にリラックス効果があると言われています。寒い冬の日に、玄関を開けた時に漂う心地よい香りは、私たちの心を温かく包んでくれます。

また、クリスマスリースの緑は、春の訪れを待つ人々の希望の象徴でもありました。今でこそ一年中緑を目にする機会がありますが、かつての人々にとって、冬の緑は特別な存在だったのでしょう。

クリスマスリースの魅力を友人や家族と分かち合おう

さて、ここまでクリスマスリースについての様々な物語を紹介してきました。「こんな深い意味があったんだ!」と、新しい発見があった方も多いのではないでしょうか。

次にクリスマスリースを見かけたとき、その一つひとつの飾りに込められた意味を思い出してみてください。きっと、今までとは違った魅力が感じられるはずです。そして、その素敵な物語を大切な人にも教えてあげてください。

クリスマスリースは、単なる季節の装飾品ではありません。人々の願いや祈り、そして希望が形になった、素晴らしい文化の結晶なのです。

クリスマスリースの魅力まとめ
観点 特徴
歴史 古代ローマから続く伝統的な装飾品
意味 魔除け、永遠の愛、豊作祈願、歓迎の心が込められた象徴的な存在
装飾 一つひとつの飾りや色に深い意味と物語が存在
期間 アドベントから公現祭まで(欧米)、12月(日本)
現代的価値 季節を彩る装飾品としてだけでなく、文化的・精神的な意味を持つ存在

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