節分はかつて『大晦日』だった?旧暦との関係や豆まきの意味を深掘り

雑学

節分は昔『大晦日』だった?旧暦と現代の違いを知る

「あれ、節分って2月2日だよね? どうしてこれが大晦日になるの?」と思うかもしれません。たしかに現代では12月31日が大晦日ですが、明治時代以前の日本では少し違う考え方がありました。

日本では明治時代に新暦(グレゴリオ暦)が導入されるまで、旧暦(太陰太陽暦)を使っていました。この旧暦では、四季の変化をより重視し、新しい年の始まりを「立春(2月4日ごろ)」と考えていたのです。つまり、立春の前日である節分こそが、かつての日本における「大晦日」だったというわけです。

大晦日といえば、一年の終わりに厄を払い、新年を清らかな気持ちで迎える日。そんな大切なタイミングが、旧暦の世界では「節分」だったのです。

旧暦では立春が新年だった理由

「なんで立春が新年だったの?」という疑問が湧いてきますよね。これは、日本が長年にわたり中国の暦法の影響を受けていたことが関係しています。

そもそも旧暦は月の満ち欠けを基準に作られたカレンダーです。しかし、月の周期だけで1年を決めると、季節が少しずつズレてしまいます。そこで、太陽の動きを考慮して「二十四節気」という区分が作られました。その中で、春の訪れを告げる「立春」は、一年の節目として特に重要視されていたのです。

また、農耕を基盤とする日本の生活では、春は「新たな生命が芽吹く時期」として特別な意味を持っていました。寒い冬を乗り越え、これから作物を育てるシーズンが始まる。つまり、春は「生きるための新たなスタート」でもあったわけです。

そう考えると、旧暦で立春を新年とするのは、理にかなっていると思いませんか? それにともない、立春の前日である節分は「一年の終わりを締めくくる日=大晦日」という扱いを受けていたのです。

節分の豆まきは「年越しの厄払い」だった

節分といえば豆まき。「鬼は外、福は内」と言いながら豆を投げる習慣は誰もが知っていますよね。でも、なぜ豆をまくのでしょうか?

これには、平安時代に宮中で行われていた「追儺(ついな)」という儀式が深く関係しています。追儺とは、宮廷で一年の厄を払うために行われていた行事で、邪気を追い払うために弓矢を放ったり、呪文を唱えたりするものでした。この追儺が、やがて民間に広まり、簡素化された形で「豆をまいて厄払いをする」という風習になったと考えられています。

また、豆には「魔を滅する(まめ)」という語呂合わせの意味もあります。さらに、大豆は神聖な穀物とされ、生命力の象徴でもありました。こうしたことから、「豆をまくことで邪気を払う」という考え方が生まれたのです。

「鬼」とは何を指すのか?

豆まきの掛け声でおなじみの「鬼は外、福は内」。では、この「鬼」とは何なのでしょう?

昔の人々にとって「鬼」は、単に赤鬼や青鬼といった妖怪の姿ではなく、災害や病気、飢饉(ききん)など、目に見えない不吉な存在の象徴でした。風邪が流行ると「鬼が来た」と言ったり、作物が枯れると「鬼が暴れている」と表現したりしていたのです。

つまり、節分の豆まきは、「鬼=災い」を追い払い、無事に新年を迎えるための儀式だったというわけです。現代の感覚でいうと、「去年の嫌なことや厄をすっきりリセットするイベント」といったところでしょうか。

地域ごとに異なる節分の風習

節分といえば豆まきが定番ですが、全国を見渡すと、そのスタイルは地域ごとに大きく異なります。例えば、北海道や東北地方では「落花生」をまく風習があるのをご存じでしょうか?

大豆ではなく落花生が使われるのは、雪深い地域ならではの工夫といわれています。落花生なら殻がついているため、地面に落ちても拾いやすく、衛生的に再利用しやすいからです。

また、関西では「恵方巻を食べる」習慣が根付いています。今では全国的に広まったこの風習ですが、もともとは大阪の花街で商売繁盛を願って始まったものだとされています。恵方巻を食べる際には「その年の縁起の良い方角(恵方)」を向いて、無言で食べるのがルール。これは「福を逃さないため」だと言われています。

そして、九州の一部地域では「鬼は外」と言わないところもあります。これは、鬼を完全に追い出すのではなく、「遠くに去ってもらう」ための配慮だとか。地域によって鬼に対する考え方が違うのも興味深いですね。

節分に魔除けのアイテムが登場?

節分の夜、玄関に「柊鰯(ひいらぎいわし)」を飾るという風習を聞いたことがありますか?

柊鰯とは、焼いたイワシの頭を柊の枝に刺したもの。見た目だけでも十分インパクトがありますが、これは鬼が嫌うとされる「イワシの臭い」と「柊のトゲ」のダブルパワーで、鬼を寄せ付けないためのおまじないなんです。

そもそも鬼は「強烈な臭い」と「痛いもの」が苦手とされていました。そのため、玄関先に柊鰯を飾ることで、「ここには入ってこないでね!」というメッセージを発していたわけです。特に関西や四国地方で広く行われていたこの風習、現代では少しずつ減ってきているものの、一部の地域では今でも残っています。

こうした節分の風習を知ると、日本各地で「年の境目」に対する考え方が異なっていたことがよくわかります。でも、そもそもなぜ「大晦日=厄払い」という発想があったのでしょうか?

ここで、昔の人々が節目の時期をどのように捉えていたのかを、もう少し掘り下げてみましょう。

昔の日本人にとって「年の境目」とは?

現代では、大晦日といえば年越しそばを食べて、紅白歌合戦を観たり、初詣の準備をしたり…というイメージが強いですが、昔の日本では「年の境目」は、もっと神聖で特別なものでした。

例えば、大晦日には「除夜の鐘」がつかれますよね。これは、1年の煩悩を取り除き、新しい年を清らかな気持ちで迎えるための儀式です。これと同じように、節分も「厄を払って新年を迎える準備の儀式」として行われていました。

さらに、日本には「年神様(としがみさま)」を迎える風習がありました。年神様とは、新年に幸運をもたらしてくれる神様のこと。昔の人々は、大晦日に家を清め、お正月には鏡餅を供えて年神様を迎え入れる準備をしていました。この考え方は、節分にも通じるものがあります。豆まきをして鬼(厄)を追い払い、福を招くことで、新たな1年を清らかに迎えようとしたわけです。

こうして考えると、節分が「大晦日」としての意味を持っていたのも納得できますね。厄を払い、新年の運気を呼び込むための行事だったのです。

現代における節分の役割と変化

時代が変わるとともに、節分のスタイルも変わりつつあります。例えば、最近では恵方巻の売り上げが伸び、コンビニやスーパーで大々的に販売されています。恵方巻は、もともと大阪の花街の風習でしたが、1990年代にコンビニ業界が「節分に太巻きを食べると縁起がいい」として全国的に広めたことがきっかけで、今や全国の風物詩となりました。

一方で、豆まきをしない家庭も増えてきました。その理由として、「マンションなどの集合住宅では掃除が大変」「子どもがいないとやらなくなる」「そもそも豆まきの意味がよくわからない」といった声が挙げられます。たしかに、畳の上に豆が落ちてしまうと後片付けが面倒ですよね。

しかし、最近では「福豆を食べるだけで厄払い」とする人も増えています。年齢の数だけ豆を食べることで、福を取り込み、無病息災を願うというものです。また、豆をお茶に浮かべて飲む「福茶」も、静かに厄を払う方法として人気があります。

マンションでもできる節分の過ごし方

「豆まきをしたいけど、マンションだから難しい…」という人におすすめなのが、簡単にできる厄払いのアイデアです。例えば、神社で「節分祭」に参加するのもひとつの手。多くの神社では節分の時期に特別な厄除け祈願を行っており、豆やお札が配られることもあります。

また、「袋入りの豆を投げる」というのも現代的な工夫のひとつ。個包装された福豆をまけば、後片付けの手間がかかりません。最近では、こうした「後片付け不要の豆まきセット」も売られているので、活用してみるのもいいかもしれませんね。

節分は「新しい年を迎えるための儀式」

ここまで見てきたように、節分は単なる「豆まきイベント」ではなく、本来は「新しい年を迎えるための厄払いの儀式」でした。旧暦では立春が新年であり、その前日の節分は「大晦日」としての意味を持っていたのです。

  • 旧暦では立春が新年とされ、節分は年の終わり=大晦日にあたる日だった
  • 豆まきは、平安時代の宮中行事「追儺(ついな)」に由来し、新年を迎えるための厄払いの儀式だった
  • 現代では恵方巻が広まり、マンションでもできる形に節分のスタイルが変化している

こう考えると、節分は単に「鬼退治の日」ではなく、「気持ちをリセットして新しい一年を迎える準備の日」だったのかもしれません。大晦日と同じように、厄を払い、清々しい気持ちで新年(立春)を迎えるための行事。そう思うと、今年の節分も、ちょっと特別なものに感じられるのではないでしょうか?

【節分が大晦日だった理由】
項目 詳細
旧暦の新年 旧暦では「立春」が新年とされており、その前日である節分は「大晦日」として扱われていた。
季節の区切り 農耕生活では「春=新しい生命の始まり」という考えが強く、立春を新年の基準とする習慣があった。
厄払いの風習 現代の大晦日と同じく、「節分=厄を払い、新年を迎える準備の日」とされていた。
宮中行事 平安時代の宮中では、節分に「追儺(ついな)」という鬼を払う儀式が行われ、大晦日と同じく厄除けの意味を持っていた。

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