『寓話』と『童話』
「イソップ物語は寓話?それとも童話?」そう聞かれると答えに困りませんか?『寓話(ぐうわ)』と『童話(どうわ)』は、どちらも動物や架空のキャラクターが登場し、どこか教訓めいた話が多いので、違いがわかりにくいですよね。
しかし実は、『寓話』と『童話』には明確な違いがあります。そのカギを握るのが、“誰のために書かれた物語なのか”という点。
今回は、寓話と童話の違いをわかりやすく解説します。最後までお読みいただくと、ちょっぴり物知りになれることでしょう。
そもそも『寓話』とは…
寓話(ぐうわ)とは、動物や架空の存在が人間のように振る舞いながら、人生の教訓や社会への風刺を描く短い物語のこと。たとえば「ウサギとカメ」や「北風と太陽」などがその代表例。有名な話なので聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
「寓(ぐう)」という字には「他のものにかこつけて思いを込める」という意味があり、それが「話」と組み合わさることで、「物語に教訓を託す」という意味合いになります。内容的には、登場する動物たちを通じて、人間社会や個人の生き方について何かを気づかせてくれるのが特徴です。
中でも有名なのが「イソップ物語(寓話)」。古代ギリシャの人物・イソップが語ったとされる寓話集です。動物たちを主人公にしながら、日々の暮らしの中で大切にしたい価値観を伝えてくれるため、世界中で読まれています。
それでは『童話』とは…
童話とは、子どもが楽しめるように作られた物語のことです。昔話や伝説なども広い意味で童話に含まれることがあります。多くは空想的で夢のある世界が広がっているのが特徴です。口伝えで語られていた話も多く、時代を超えて語り継がれてきました。
童話には空想的で夢のある世界が広がっているのが特徴。代表的な作品には「グリム童話」や「アンデルセン童話」などがあります。
「童話」の「童」は子どもを意味する漢字であり、その名のとおり、子どもたちの心に寄り添い、優しさや学びを届ける作品が多いです。創作童話のなかには、宮沢賢治のように詩的な感性で自然や生命を描いた作家もいるそうです。
『寓話』と『童話』の違い
寓話は、物語を通して人生の教訓や道徳的なメッセージを伝えることを目的とした物語。たとえば、動物や自然を登場人物に見立て、人間社会の問題や行動への気づきを促す内容が多く見られます。古くから語り継がれている『イソップ物語』がその代表例。作品を通じて「どう生きるか」「何を大切にするか」といった学びを与える点が、寓話の特徴と言えるでしょう。
一方で童話は、「子どもが楽しめること」を重視して作られた物語です。内容は空想的でやさしく、夢のある世界が描かれることが多め。読み聞かせや子どもの読書入門としても活用されています。「グリム童話」や「アンデルセン童話」などがよく知られています。
このように、寓話は“伝えたい教え”に焦点を当てた物語であり、童話は“子どもの心を惹きつける”ことに重きを置いた物語と言えます。また、童話は基本的に子ども向けに作られていますが、寓話は子どもから大人まで幅広い読者層を対象としているのも大きな違いといえます。
今回の雑学、面白かったらぜひ周りの人にも教えてあげてみてください。