『エビの味噌』実は脳みそじゃないというのは本当なの あの旨味の正体とは

雑学

エビの味噌は「脳みそ」じゃない

エビを丸ごと食べる時に、頭にある味噌の部分を楽しみにしているという人も少なくありません。しかし、多くの人が誤解しているのは、「エビの味噌は脳みそである」ということではないでしょうか。

実は、この茶色っぽいペースト状の味噌は、エビの脳みそではありません。果たして味噌の正体はいったい何なのか、さっそく確かめてみましょう。

旨味あふれる部位の正体は中腸腺

エビ味噌の正体は、節足動物に備わっている「中腸腺」と呼ばれる器官です。

かつては「肝膵臓」とも言われていた部位であり、エビの体の中では名前の通り「肝臓」と「膵臓」に似た働きをしてくれています。人間の体の中では、それぞれ分かれた臓器として活躍している部位が合体しているわけですね。

この中腸腺は、エビが食べたものを消化するだけでなく、栄養分を貯蔵する役割も担っています。その働きが、食べた時に感じるあの独特なエビ味噌の旨味につながっているのです。

おいしいエビの出汁は主に味噌から出ている

エビは、生のままでも加熱調理をしてもおいしい食材です。中でも、丸ごと煮てみるとおいしい出汁が取れたりしますよね。

エビを煮込んだ時の出汁の旨味は、主に中腸腺から出る濃厚な風味がスープに溶け出すことで得られるものです。

実際のところ、エビの身を構成するタンパク質そのものには強い風味があまりなく、プリッとした食感を楽しむには良いものの、おいしい出汁をとるには不向きとも言えます。その分、エビならではの風味を中腸腺が存分に醸し出してくれているのです。

エビ味噌を味わい尽くすさばき方のコツ

自宅でエビ味噌のおいしさを味わうのであれば、エビの下処理の仕方がとても大事なポイントです。エビが冷凍品である場合は、まずはエビの体が曲げられるくらいになるまで、数分間の流水解凍を行いましょう。

この時に、エビを室温になるまで解凍しすぎると、せっかくのエビ味噌が溶け出してしまいます。また、縦半分にカットするのであれば、すぐに切らないと包丁においしいエビ味噌がたくさんくっついて取れてしまうことがあるので注意しましょう。

包丁を入れる時には、身の部分と頭の部分をそれぞれ分けて切るのがおすすめです。

エビの身がつぶれないように、包丁を引くようにして胴体部分を切ったら、エビの体をぐるっと回転させて上下を入れ替えます。今度は包丁を引かずに、上から押さえつけるようにして一気に頭の部分を切ると、エビ味噌が混ざらず綺麗に半分になるので試してみてください。

最後に、エビの体から臭みや砂のジャリジャリとした不快な食感の原因となる背ワタや胃袋を取り除いたら、後はお好みで焼いたり煮たりすることで、おいしいエビ味噌を堪能できます。

カニ味噌の正体も同じもの?

エビ味噌と同じく、カニ味噌の正体もまた脳みそではありません。エビもカニも同じ節足動物で、カニ味噌の正体はやはり中腸腺です。

さらに、エビやカニ以外では、イカや貝といった軟体動物も中腸腺を持っています。イカの中腸腺は「イカゴロ」という名前で珍味として扱われており、イカの塩辛を作る時になくてはならないものです。

一方で、二枚貝の中腸腺は貝毒が蓄積しやすい部位であるとして、食中毒予防のためにできるだけ取り除いて食べるよう推奨されています。

ただし、貝毒の原因となる有毒プランクトンを監視し、定期的な検査を行うなど国の対策が講じられているため、市販の貝類における食中毒のリスクは大幅に低減されており、報告件数も非常に少なくなっています。それでも特に注意が必要なのは、潮干狩りなどで個人が採取した貝を食べる場合です。必ず採取場所の安全性を自治体のホームページなどで確認するようにしましょう。

エビ味噌の意外な正体にびっくり!

脳みそだと誤解されがちなエビ味噌の正体は、中腸腺という独特な器官のことでした。頭にあるために、つい脳みそだと思ってしまいますよね。

次に有頭エビを調理したり、エビ味噌を食べる機会があれば、ぜひ誰かとの話題の1つにしてみてください。

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