クジラやイルカが超音波を出す器官の名前が意外すぎた まさかの美味しそうな呼び方に驚き

雑学

イルカやクジラのすごい能力を支える「メロン」

「ハクジラ類」に分類されるイルカやクジラたちが、水中でどのように情報収集をしているかご存じですか?海の中では、光が届く範囲にも限りがあり、夜の時間帯や深海では視覚が役に立ちません。

そこで重要になってくるのが「音」です。ハクジラ類のイルカやクジラたちは、体から出す高周波の音を利用して、周囲の状況を把握したり、エサを捕まえたりする「エコロケーション(反響定位)」という能力を備えています。

そして、このエコロケーションが上手く機能するための要となっているのが、イルカやクジラたちの丸みを帯びた頭の中にある脂肪組織「メロン」です。何とも可愛い果物の名前なのは、見た目や質感がメロンそっくりだからという理由なのだそう!

ちなみに、このメロンという脂肪組織は、シロナガスクジラやザトウクジラといったヒゲクジラ類の頭には存在しません。

メロンを活用したエコロケーションの仕組み

エコロケーションを行うイルカやクジラたちは、鼻の通り道にある袋状の器官で高音域の音を生み出し、ちょうど前方にあるメロンを通じて超音波を発しています。

この時、メロンは光を集めるレンズと同じようにして音を集め、どこまでその音を飛ばすのか範囲を調整する役割を担っているのです。

メロンを通じて発した超音波は、何かの物に当たるとイルカやクジラたちの方に跳ね返ってきて、下顎の骨から骨伝導の形で耳に伝わります。その後、耳の中で音が電気信号に変換され、それが脳へと伝わると、目では見えない海の中の様子すらも映像として捉えられるというわけです。

エコロケーションを活用することで、自分が今いる場所の周囲の地形や避けなければいけない障害物、エサとなる魚やイカなどの正確な位置を把握したり、共に暮らす群れの仲間とコミュニケーションができます。

ハクジラ類のイルカやクジラたちが生きていくためには、メロンを通じて「音で見る」エコロケーションという能力が必要不可欠なのです。

特殊なメロンを持つイルカやクジラ

シロイルカ(ベルーガ)

同じハクジラの仲間でも、ちょっと変わったメロンを持つ種類もいます。代表的なのは、他のイルカやクジラよりも一段と額がぷっくりと膨れているシロイルカ(ベルーガ)です。

この膨らんだ部分に入っているものこそメロンなのですが、シロイルカのメロンは外から触ってみるとまさにぷにゅぷにゅとした柔らかい触り心地。

これは、本来の生息場所である北極海で泳いでいる時に、氷に頭をぶつけてもクッション代わりになるようにと発達したようです。

また、自分でメロンの形を変えることも可能で、平らにしてみたり、もっと膨らませてみたりすることで表情を変え、他のシロイルカとの交流に役立てているのではないかと考えられています。

マッコウクジラ

ハクジラの中では最も大きいマッコウクジラは、前にせり出すような大きな頭が特徴的なクジラです。

マッコウクジラもハクジラ類のため、エコロケーションを行っているのですが、頭の中にあるのはメロンと似た役割を持つ「ジャンク」と呼ばれる脂肪組織と、脳油という物質を収める「ケース」。

ケースも超音波の調節に役立っていると言われていますが、他にも深く潜る時の重石や浮上する時の浮き輪としての役割を持っています。また、脳油を通じて増幅した音は、エサとなる魚やイカへの衝撃音としても使っているのではと考えられており、その働きはまだ謎に満ちているようです。

美味しそうな名前だけど大事な仕事をする器官!

ハクジラ類のイルカやクジラにとって、メロンは超音波を使った情報収集をする時に大事な仕事をしてくれている器官です。

美味しそうな名前を聞くと何だかクスッと笑ってしまいそうになりますが、海の中を自由自在に行動し、仲間と一緒に生きていくためにはメロンが欠かせません。

水族館などでイルカたちを見ることがあれば、メロンが収められている頭の膨らみにもぜひ注目してみてくださいね。

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