なぜ校長先生の話は長いの?生徒が知らなかった「ネタ本」の存在とは

雑学

誰もが経験した校長先生の話「あるある」

始業式の体育館。夏の暑い日も、冬の寒い日も、私たちは校長先生の話を聞くために整然と並んでいました。話の内容は正直あまり覚えていないけれど、「長かった」という記憶だけは今でも鮮明に残っています。

体育館の床が固くて座りづらい、前の人の背中ばかり見ている、そわそわする気持ちを抑えながら「いつ終わるのかな…」とチラチラ時計を見る。こんな経験、誰にでもあったのではないでしょうか。

実は、小学校から高校までの12年間で、私たちは実に72回も校長先生の話を聞いていたことになります。3学期制の場合、始業式と終業式を合わせて年6回。それが12年間続くと72回。まさに「校長先生の話マラソン」とも言えるほどの回数です。

でも、考えてみれば不思議なことがあります。なぜ校長先生の話は、どこの学校でも、いつの時代も「長い」と感じるのでしょうか?

校長先生の話が長くなる理由「ネタ本」の存在

実は、校長先生の話が長くなる理由には、誰も知らなかった驚きの事実が隠されていました。

教育評論家として知られる尾木直樹氏が明かしたところによると、全国の校長先生の約7〜8割が「校長講話集」という本を参考にしているそうです。まさに校長先生専用の”ネタ本”が存在していたのです。

この事実をテレビ番組「チコちゃんに叱られる!」で知った視聴者からは、「えっ、そうだったの!?」「学生時代に知っていたら、絶対に真面目に聞けなくなる(笑)」といった驚きの声が相次ぎました。

しかし、話が長くなる理由は、単に”ネタ本”があるからだけではありません。実は、校長先生たちもある「苦悩」を抱えていたのです。

ある校長先生は、本音をこう語ります。「生徒たちへの思いや教育への考えを、わかりやすく、かつ偏りのないように伝えようとすればするほど、話は長くなっていってしまうんです」

ネタ本「校長講話集」の誕生秘話

では、なぜこのような”ネタ本”が生まれたのでしょうか。

ある出版社の企画担当者は、こう語っています。「高校の校長先生から『毎週の集会で話すネタに困っている』という相談を受けたのがきっかけでした。学校という場で、教育者として、また経営者として、適切な話をすることへのプレッシャーは相当なものだったんです」

実際、校長講話集には約270ものエピソードが収録されており、入学式や卒業式はもちろん、体育祭や文化祭、さらには月ごとの行事に合わせた話まで網羅されています。月刊誌形式で発行されているものもあるそうです。

校長先生が抱える意外な悩み

ところが、このネタ本の存在が、思わぬ”副作用”を引き起こしていました。

「ネタ本の内容に、自分の経験や思いを加えていくうちに、どんどん話が長くなってしまうんです」とあるベテラン校長先生は苦笑いします。さらに、生徒だけでなく、教職員や来賓の保護者など、様々な聴衆を意識せざるを得ない立場にあることも、話を複雑にする要因となっているようです。

実は、多くの校長先生たちは、この状況を改善しようと努力を重ねています。都内のある私立学校では、生徒会と協力して式の形を見直し、生徒たちが主体的に参加できる形に変更。校長の話は最小限に抑え、代わりに生徒会長が学期の目標や総括を伝える形式を採用したそうです。

校長先生の話の雑学、誰かに教えてみよう!

実は、校長先生の話には6つの定番テーマがあることも分かっています。教育目標に関する話、人生について考えさせる話、日本の伝統や行事についての話、自然の素晴らしさを伝える話、時事問題について考えさせる話、そして心に残る感動的な話です。

「あっ、確かに!」と思い当たる方も多いのではないでしょうか。実際、皆さんが聞いた校長先生の話も、きっとこの6つのテーマのどれかに当てはまるはずです。

このように見てくると、校長先生の話が「長い」と感じる理由が少し分かってきませんか? それは決して、校長先生の話し方が下手だったわけでも、内容が詰まらなかったわけでもありません。むしろ、教育者としての使命感と、生徒一人一人への思いが込められすぎていたからかもしれません。

次に誰かと学生時代の思い出話に花を咲かせるとき、「実は校長先生の話には、こんな秘密があったんだよ」と、この意外な事実を共有してみてはいかがでしょうか。きっと「へぇ〜!」という驚きの声が返ってくるはずです。

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