スイス国旗はなぜ正方形なのか歴史にヒントがあった!
国旗と聞くと、横長の長方形をイメージする人がほとんどではないでしょうか。でも、世界には珍しい正方形の国旗があるんです。
それがスイス国旗。真っ赤な背景に白い十字というデザイン自体も印象的ですが、そもそもなぜスイスだけ正方形なのか、不思議に思ったことはありませんか?
実は、スイス国旗が正方形になった理由は大きく分けて2つあります。
一つは、かつてスイスで使われていた軍旗が正方形だったため。もう一つは、スイス建国の中心となったシュヴィーツ州が正方形の旗を使っていたことです。この二つの理由が絡み合い、現在の形になったのです。
とはいえ、「軍旗が正方形だったから」というだけではピンとこないかもしれません。そもそもなぜ軍旗が正方形だったのか、その理由をもう少し深掘りしてみましょう。
軍旗が正方形になった意外な理由
スイスの国旗の元となった軍旗が正方形だった理由、それは戦場での「視認性」と「携帯性」の良さにありました。
戦場では、敵味方をはっきり見分けることが最優先です。正方形はどの角度から見ても形が変わらず、遠くからでも明確に識別できます。また、横長の旗だと、風がない時には布が垂れてマークが見えにくくなってしまいます。その点、正方形なら布が垂れにくく、常に模様がはっきり確認できるというわけです。
携帯性にも優れていました。正方形の旗はたたんだり巻いたりする際に扱いやすく、兵士たちが移動中でも迅速に持ち運べました。戦場では一瞬の遅れが命取りになるため、旗の形ひとつにも機能性が求められたのです。
現代ではあまり意識されないことですが、当時の状況を想像してみると、「なるほど」と納得できるのではないでしょうか。
スイス発祥シュヴィーツ州の旗の影響
スイスが今のような形で国としてまとまったのは、1291年にシュヴィーツ州を中心に複数の州が連合を組んだことに由来します。スイスの国名そのものが、このシュヴィーツ州から取られているほど、スイス建国に深い関係があります。
実は、このシュヴィーツ州の旗が、まさに現在のスイス国旗と同じく正方形だったのです。州の旗は地域のシンボルとして強く根付いていました。スイス連邦が成立するとき、州同士の団結を強く示すためにも、このシュヴィーツ州の正方形旗がそのまま引き継がれました。
言ってみれば、日本でいうと江戸時代の各藩が持っていた独自の旗が、国全体の象徴として採用されたような感覚に近いかもしれません。その歴史を考えると、スイス国旗が正方形であることにも深い納得がいきますね。
スイス国旗に込められた意味とは?
スイスの国旗といえば鮮やかな赤地に真っ白な十字が描かれていますよね。このシンプルなデザインには深い意味が隠されていることをご存じでしょうか?
実は、この赤と白には歴史的な背景や、スイスの国民性が反映されています。色やデザインに込められたメッセージを知ると、スイスという国がより身近に感じられるようになるはずです。
では、赤色が何を表しているのか、まずそこから掘り下げていきましょう。
赤色が象徴するもの
スイス国旗の赤色には、主に二つの説があります。
一つ目は、キリスト教の影響を受けて「キリストが流した血」を表しているという説です。ヨーロッパでは古くから赤色が犠牲や勇気、献身を意味する色として親しまれてきました。スイス国旗に赤色が採用されたのも、そんな宗教的背景が影響している可能性が高いのです。
もう一つの説は、スイスの首都ベルンの旗が赤色だったため、それを参考に採用されたというもの。ベルンは中世からスイス連邦の重要都市であり、その都市のシンボルカラーを国旗に反映することによって連帯感を示したのだと言われています。
どちらの説もスイス人の強い団結心や伝統を大切にする姿勢が見えてきますね。
白い十字が伝えるメッセージ
スイス国旗の真ん中にある白い十字は、キリスト教の精神を表しています。スイスは歴史的にキリスト教(特にカトリックとプロテスタント)が深く根付いた国です。そのため国旗にもその宗教的価値観が自然な形で反映されました。
また、白は平和や純潔を意味し、国としての中立性を象徴する色でもあります。スイスは何世紀にもわたり中立を保ってきました。戦争や紛争に巻き込まれず、自ら平和を守る決意をこの白い十字に込めているのです。
スイスの白十字を見ると、単なるデザインではなく、その国が何を大切にしてきたかが伝わってきます。普段、深く意識することは少ないかもしれませんが、こうして意味を知るとより一層興味深く感じられますよね。
もう一つの正方形の国旗はバチカン市国
世界にはスイスのほかに、もう一つだけ正方形の国旗を持つ国があります。それが、世界最小の独立国家・バチカン市国です。
バチカン市国の国旗は黄色と白の二色で構成されています。真ん中には教皇のシンボルがあしらわれていて、スイス国旗とはデザインが大きく異なります。しかし、なぜかこの二つの国だけが正方形の国旗を採用しています。
実は、この二つの国には共通する要素がありました。それは、どちらも宗教的・歴史的に重要な役割を持ち、伝統的な価値観を大切にしてきた国だということです。
正方形は均衡や安定を象徴する形とされています。つまり、スイスもバチカン市国も、国家の安定性や平和への強い意思を、この特別な形の国旗で示しているのかもしれません。
こうした視点から見ると、正方形の国旗を持つ国が少ない理由も理解できるのではないでしょうか。
赤十字マークはスイス国旗から生まれた
赤地に白い十字のスイス国旗。実は、このデザインから生まれたのが「赤十字マーク」だと知ったら、驚きませんか?現在では災害や紛争地で人道的な活動を象徴する世界的なマークですが、そのルーツはスイスにありました。
そもそも赤十字が発足したのは、19世紀にスイスで開かれた国際会議がきっかけです。その際、組織を象徴するマークを決める必要がありました。そこで注目されたのが、会議の開催地でもあるスイスの国旗です。
この国旗を基に、シンプルで分かりやすいマークが生まれました。ただ、赤十字マークはスイス国旗の色をそのまま使うのではなく、あえて色を反転させました。それには、意外な理由があります。
なぜ色を反転させたのか
赤十字マークが赤地に白い十字ではなく、白地に赤い十字になったのには、スイスに対する「敬意」が込められていました。
そもそも赤十字はスイスで生まれ、活動の拠点もスイスに置いていました。国際的に重要な組織として、特定の一国の旗をそのまま使用するのは避けたかったのです。
そこで考えられたのが、色を反転させることでした。スイスの旗を反転することで、スイスへの敬意を示しつつ、公平で中立な立場を象徴したのです。
こうして赤十字マークは、世界中どこでも認識される人道支援のシンボルとなりました。普段はあまり意識しませんが、私たちが目にする赤十字には、このような歴史的な背景があったのです。
スイス国旗に関する意外な勘違い
スイス国旗は世界的に有名なデザインですが、実は意外と他国の旗と混同されることがあります。特によく間違えられるのが、デンマークの国旗です。
デンマークの旗も赤と白を基調にしており、白い十字を使ったデザインになっています。ただ、デンマークの国旗は横長の長方形で、十字も左寄りに配置されています。一見似ているように見えますが、注意して見るとかなり違います。
しかし、サッカーの国際試合やオリンピックなどで、間違えて逆の旗を振ってしまう人が後を絶たないのも事実です。テレビ中継で自国の選手を応援しようとして、全く別の国の旗を振っている姿を目にしたことがある方もいるかもしれませんね。
こういった勘違いも、デザインがシンプルゆえの面白さと言えるかもしれません。皆さんも、もし赤と白の十字の旗を見かけたら、少し注意して「どっちの国かな?」と確認してみてください。
スイス国旗の秘密を知ったら誰かに教えたくなる
ここまで、スイス国旗がなぜ正方形なのか、その意味や歴史、さらには赤十字マークとの意外な関係まで紹介してきました。
普段あまり気にしない国旗の形にも、深い歴史や意味が込められていることに気づくと、見方が変わりますよね。特にスイス国旗が軍旗から生まれたことや、赤十字マークの元になった話などは、ちょっとした雑談のネタとして周囲の人に話したくなるはずです。
国旗という一見シンプルなものにも、その国の歴史や文化、価値観がギュッと詰まっています。ぜひこの記事で知った「スイス国旗の雑学」を、友人や家族、職場の仲間に共有してみてください。きっと皆さんの反応は、「へぇ、知らなかった!」という驚きに変わることでしょう。