『わらび粉』と『本わらび粉』
ぷるんとした食感と素朴な甘さが魅力の「わらび餅」。夏の和菓子としておなじみですが、その原料には「わらび粉」と「本わらび粉」という2種類があることをご存じでしょうか?
今回は「わらび粉」と「本わらび粉」の違いについて、わかりやすく解説。最後までお読みいただくと、和菓子について詳しくなれることでしょう。
『わらび粉』とは…?
まずは、そもそも「わらび粉」とは一体何なのかから解説していきます。
わらび粉は、ワラビという植物の根からごくわずかにとれるでんぷんをもとに作られます。ワラビの地上部分が枯れた冬に、その根を掘り起こして使用します。根をきれいに洗ったあと、細かく砕いて水にさらし、何度も水を入れ替えながら不要な成分を取り除いていきます。
この工程を繰り返すことで、少しずつ不純物のないきれいなでんぷんだけが残っていきます。最終的に沈殿したでんぷんを乾燥させたものが「本わらび粉」です。
『本わらび』は希少な食材
わらび粉の原料となるワラビの根は、くず粉の原料である葛の根に比べて細く、採れる量もごくわずか。しかも、収穫できるのは寒い冬だけ。そこからでんぷんを取り出すには、長い時間をかけて水にさらし、丁寧に不純物を取り除く必要があります。
こうした手間と希少性の高さから、「本わらび粉」は非常に高価なものとなります。価格は本葛粉よりも数倍高く、スーパーなどで手軽に買えることはまずありません。特に国産のものは流通量が少なく、専門店などでしか見かけない貴重な食材です。
『わらび粉』と『本わらび粉』の違いについて
本来のわらび餅は、本わらび粉を使って作られるため、見た目が黒みがかっており、もっちりしつつもとろけるような独特の食感があります。しかし、前述したように「本わらび粉」はとても希少で高価なため、昔ながらのわらび餅は今ではなかなか目にする機会が少なくなっています。
一方、スーパーなどでよく見かけるわらび餅は、透明や白っぽい色をしているものがほとんど。これらは芋やれんこんなど、わらび以外の植物からとれたでんぷんで作られており、「わらび粉」あるいは「わらび餅粉」として流通しています。見た目や食感は似ていますが、原料には大きな違いがあるのです。
わらび餅を食べるときに今回の雑学を思い出してみよう
今回の雑学を振り返ってみましょう。
「本わらび粉」は、わらびの根から採取した純粋なデンプンです。一方、「わらび粉」は、サツマイモのデンプンなどで作られたもの。市販のわらび餅によく使われています。
今回の雑学、わらび餅を食べるときにでも思い出してみてください。もしかすると、わらび餅がもっと美味しく感じるかもしれませんよ。