『大戸屋が1階にない理由』とは 意外な企業戦略に驚き

雑学

大戸屋の店舗があるのは2階以上や地下

「大戸屋」と言えば、「日本の家庭の味」をコンセプトにしながら海外にも多数出店している有名な外食チェーン店。定食屋としてはやや珍しく、健康に配慮した野菜を多く取り入れたメニューを提供するなど、一味違った経営方針によって人気を誇っています。

そんな大戸屋の店舗を訪れてみると、出店している「場所」にも他とは少し違った点があることに気づくでしょう。

普通なら、人の目に入りやすい場所に店舗を構えた方がお客さんを呼び込みやすいと考え、1階を選んで出店します。ところが、大戸屋については、なぜか2階や地下にばかり出店しているのです。

もちろん、少し条件が悪い場所の方が、店舗を構えるにあたってコストが抑えられるのは言うまでもありません。しかし、大戸屋が2階や地下に店舗を構える理由は、それだけに留まりませんでした。

大戸屋が1階に店舗を構えないのは「女性客への配慮」

実は、大戸屋が1階に店舗をつくらないのは「わざと」です。背景にあるのは、大戸屋を訪れる女性客への配慮でした。

女性は男性と比べて、1人で定食屋に入るのは少し勇気がいると感じる人が多いと言われています。それなのに、人が行き交い、外からでも店内の様子がよく見える1階に店舗があると、「食べているところを見られるから恥ずかしい」と余計に足が遠のいてしまいます。

そこであえて、外から店内を見る人が少なくなる2階や地下に出店することによって、女性が1人で大戸屋を訪れても気兼ねなく食事ができるようにしたのです。

元々、大戸屋のメニューは女性客に支持されやすいものが多かったのですが、出店場所についても一工夫することで、ターゲット層である女性たちからより多くの支持を獲得することに成功しました。

出店戦略として大事な「店舗の方向性」「ターゲット層の明確化」「出店エリア」をしっかりと噛み合わせた結果、大戸屋は現在に至るまで、呼び込みたいお客さんに見事なアプローチができています。

経営を改善して大戸屋の人気も復活中

ところが、安定した人気を誇っていた大戸屋も、一時期は創業者の死去をきっかけに業績が低迷する事態に陥っていたと言います。2019年には別の大手飲食チェーンを展開するコロワイドによって買収されるなど、改革が必要な状況に突入しました。

しかしこれをきっかけに、店内調理の流れを見直して料理の提供時間の遅さを改善したり、メニューの値上げには踏み切るも、1000円以下で食べられる「お手頃なほっとする家庭の味」を提供する企業努力を続けたことで、大戸屋の人気は復活していったのです。

物価高の影響で他の外食チェーンが1000円を超える値段のメニューを増やす中、高すぎない価格で、体にも優しいメニューを食べることができる「ちょうどいい」大戸屋は、現在のお客さんたちが求めるニーズに合ったというわけですね。

また、必要に応じておかずやご飯の量を増やしたり、小鉢を追加して豪華にできるのも、人目を気にせずゆっくりと食べられる店舗で「今日はいっぱい食べたい!」という女性が多く利用する理由なのかもしれません。

大戸屋は女性だけでも入りやすい!

今回は大戸屋の店舗が1階にはない意外な真相をご紹介しましたが、いかがでしたか?今まで大戸屋を利用したことがある人なら、「そういえば確かに!」と納得できたことでしょう。

定食屋を利用したいけれど、1人で入るのはためらってしまうという女性にとって、気軽に入店しやすい店舗は嬉しい限り。

大戸屋を利用する時には、企業からのちょっとした心遣いを受け取りつつ、おいしいご飯をめいっぱい堪能してみましょう。

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