乾パンに氷砂糖が入っているのはなぜ? 非常時に役立つ理由と食べ方

雑学

氷砂糖は水分の少ない乾パンを食べやすくする

乾パンの缶を開けると、ころんとした白い氷砂糖。食後のお菓子のようにも見えますが、実はきちんとした役割があります。

それは、唾液の分泌を促して乾パンを食べやすくすることと、糖分を補給することです。

乾パンは、水分が少なく硬い食品です。長く保存できる一方、そのまま食べると口の中がパサつき、飲み込みにくく感じることがあります。

そこで役立つのが氷砂糖。なめることで唾液の分泌が促され、口の中が潤うため、乾パンを食べやすくなるのです。飲み水が限られる災害時にも役立つ工夫ですが、氷砂糖が飲み水の代わりになるわけではありません。

さらに、氷砂糖は調理せずに糖分を補給できるエネルギー源でもあります。乾パンメーカーの三立製菓は、非常時の気分転換にも役立つと案内しています。

つまり、あの小さな氷砂糖は、単なる甘いおまけではなく、非常時の食事を考えて添えられたものなのです。

氷砂糖の大きな結晶はゆっくり溶ける

ところで、乾パンに入っているのは、サラサラした砂糖ではなく、大きな粒の氷砂糖です。この形にも、注目したい特徴があります。

氷砂糖は、時間をかけて砂糖の結晶を大きくしたもの。グラニュー糖のような細かな粒とは違い、溶けるのに時間がかかるという性質があります。果実酒づくりにも利用される特徴です。

口に含んだときも、すぐになくなるのではなく、少しずつ溶かしながらなめられます。ただし、この溶け方が歴史的に氷砂糖を選んだ決定的な理由だったかどうかは、確認できていません。

では、乾パンと一緒に食べるときはどうすればよいのでしょうか。

おすすめは、氷砂糖をなめながら乾パンを食べる方法です。すぐにかみ砕くのではなく、乾パンを食べる合間にゆっくりなめることで、唾液の分泌を促すという役割を生かせます。

金平糖が入った乾パンにも同じ工夫がある

乾パンに添えられている甘いものは、氷砂糖だけではありません。製品によっては、色とりどりの金平糖が入っていることもあります。

例えば、三立製菓の「缶入カンパン100g」は氷砂糖入りですが、「ホームサイズカンパン475g」には「金米糖」と表記する金平糖が使われています。

形は違っても、唾液の分泌を促して乾パンを食べやすくし、糖分を補うという役割は共通しています。

実は、乾パンと金平糖の組み合わせには長い歴史があります。三立製菓の歴史資料によると、昭和5年(1930年)頃から旧陸軍で小型乾パンの研究開発が進められました。

当時は長期保存を目指して乾パンから糖分や脂肪分を除いていたため、別に金平糖を添えて糖分を補う工夫が行われたといいます。

ところが、その金平糖は、甘さではなく「色」が問題になったこともありました。

同社の資料には、白い金平糖をシベリアの極寒地で試したところ、白い色が氷を連想させるとして不評だったというエピソードが残されています。

そこで白を除き、黄色、青、ピンク、紫、緑の5色に変更して試したところ、今度は好評だったそうです。同じ金平糖でも、色が変わるだけで受け止められ方が違ったというわけです。

糖分を補うだけでなく、食べる人の気持ちを考えて色まで工夫されていた昔の乾パン。現在の缶に入っている白い氷砂糖も、そんな歴史を知ると、ただのおまけとは違って見えてくるのではないでしょうか。

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