2月3日は『絵手紙の日』!ヘタでも味が出る、不思議な魅力を解説

雑学

『絵手紙の日』ってどんな日?

2月3日が「絵手紙の日」として制定されたのは、絵手紙の「ふ(2)み(3)」という語呂合わせが由来です。これは、日本絵手紙協会によって認定され、手書きの手紙文化を広めるための記念日となりました。

そもそも「絵手紙」とは、単なるイラスト付きの手紙ではありません。シンプルな絵に短い言葉を添えて、書き手の心を届けるスタイルが特徴です。メールやLINEのように即時に送れるものではありませんが、だからこそ、相手に届いたときの喜びもひとしお。まるで贈り物のように「心を包み込む手紙」なのです。

最近ではデジタル化が進み、手紙を書く機会自体が少なくなりました。特に若い世代では「手書きで何かを送る」という文化が馴染みのないものになっているかもしれません。しかし、年賀状や暑中見舞いが減少する一方で、「手書きの手紙をもらうと特別に感じる」という声は今も根強くあります。

それにしても、なぜ「絵手紙」には特別な魅力があるのでしょうか?

その答えは、日本絵手紙協会が掲げるモットー「ヘタでいい、ヘタがいい」に隠されています。

「ヘタでいい、ヘタがいい」?絵手紙の独特なスタイル

絵手紙の世界には、「ヘタでいい、ヘタがいい」というユニークな考え方があります。普通の絵や書道では「上手に描く」ことが求められますが、絵手紙ではそれが正解ではありません。大切なのは、技術ではなく「気持ちを込めること」。

たとえば、小さな子どもが描いた絵を見て「下手だな」と思う人はいないでしょう。むしろ、その無邪気さや一生懸命な気持ちに心を動かされるものです。絵手紙もそれと同じで、「上手に描こう」と思わなくても、ありのままの自分を表現することこそが本当の魅力なのです。

日本絵手紙協会では、「ぶっつけ本番で描く」ことを推奨しています。下書きはせず、最初の一筆から思い切りよく描く。すると、ぎこちない線や思わぬ形が生まれ、それが味わいとなります。これこそが絵手紙の面白さであり、書き手の個性が表れる部分でもあります。

また、絵だけではなく添える言葉も重要です。

長々とした文章よりも、「お元気ですか?」「ありがとう」「また会おうね」といった短いメッセージの方が、ストレートに気持ちが伝わります。短い言葉に気持ちを込めることで、受け取った人の心に深く響くのです。

この「ヘタでいい、ヘタがいい」という考え方は、実は私たちの日常にも応用できるかもしれません。何事も完璧を求めすぎると、気持ちがこもらなくなることがあります。絵手紙を通して、「上手さよりも大切なものがある」ということを改めて感じる機会になるかもしれません。

では、そんな絵手紙がどのように誕生し、広がっていったのか? その歴史を少し振り返ってみましょう。

手紙文化の変遷と絵手紙の登場

手紙の歴史はとても古く、紀元前のメソポタミア文明では粘土板に刻まれた文字が手紙の始まりとされています。エジプトではパピルス(古代の紙)に書かれ、飛脚や伝書鳩など、さまざまな手段でメッセージがやりとりされてきました。

日本においても、手紙文化は古くから根付いていました。飛鳥時代の「大化の改新」後には、役人が公文書をやりとりするために全国各地へ手紙を運んでいました。平安時代になると、貴族の間で和歌を詠んで手紙にしたためる文化が流行し、やがて江戸時代には町人の間でも手紙のやりとりが盛んになります。

しかし、この長い手紙の歴史の中で、「絵手紙」というスタイルが確立されたのは比較的最近のことです。1970年代、書道家の小池邦夫氏が「絵と言葉を組み合わせた手紙」を提案し、新しい手紙文化として広がりました。

小池氏は「手紙は情報を伝えるだけでなく、感情を届けるものだ」と考え、そこに「絵」という要素を加えることで、より心が伝わる手紙になることを発見しました。それが現在の「絵手紙」となり、趣味として楽しむ人が増えていったのです。

こうして誕生した絵手紙は、今では世代を問わず多くの人に親しまれています。特に、手紙を書く機会が減った現代において、「久しぶりに手書きの手紙をもらった!」という喜びは大きいもの。

では、そんな「絵手紙の日」に、実際に絵手紙を描いてみるのはどうでしょうか? ちょっとした工夫で、楽しく始めることができますよ。

『絵手紙の日』にやってみよう!絵手紙の楽しみ方

せっかくの「絵手紙の日」、この機会に実際に絵手紙を描いてみませんか?

「でも、絵が苦手だから……」と思った人もいるかもしれません。けれど、絵手紙の魅力は「上手さ」ではなく「気持ちを伝えること」にあります。何を描くか、どんな言葉を添えるかを考えるだけでも、相手を思う時間が生まれ、それがそのまま心のこもった手紙になります。

では、絵手紙を楽しむためのいくつかのポイントを紹介しましょう。

まずは身近なものを題材に

「何を描けばいいの?」と迷ったら、まずは身近なものを題材にするのがおすすめです。

例えば、以下のようなものが絵手紙にはぴったりです。

  • 季節の花や植物(桜、ひまわり、紅葉など)
  • 食卓に並ぶ野菜や果物(みかん、トマト、ナスなど)
  • お気に入りのマグカップや雑貨

特に野菜や果物は、形がシンプルで描きやすく、初心者でも取り組みやすいモチーフです。また、「今日はこんなものを食べたよ」「こんな景色を見たよ」と、その日あった出来事を絵手紙にするのも素敵ですね。

伝えたい言葉を添える

絵手紙は、絵だけではなく「言葉」も重要な要素です。長々とした文章よりも、短いフレーズの方がシンプルに気持ちを伝えられます。

例えば、

  • 「お元気ですか?」
  • 「ありがとう」
  • 「また会おうね」
  • 「ふっと思い出して描いてみました」

こんな一言を添えるだけで、手紙を受け取った人の心にぐっと響くものになります。

また、言葉を書くときも「上手に書かなきゃ」と思わなくて大丈夫。ちょっと歪んでいても、筆の勢いのままに書いた方が、味わいがあって温かみが伝わります。

まずは気軽に試してみよう

いきなり完璧な絵手紙を描こうとすると、かえって難しく感じてしまうもの。大切なのは「描きたいな」と思ったときに、気軽に筆をとることです。

まずは、家にあるハガキや画用紙に、ボールペンや色鉛筆を使って試しに描いてみるのもいいでしょう。本格的にやってみたくなったら、日本絵手紙協会が推奨する「筆」と「画仙紙(がせんし)のはがき」を使うと、より味わい深い作品になりますよ。「絵を描くのなんて久しぶり」という人も、この「絵手紙の日」をきっかけに、自由な気持ちで楽しんでみてください。

では、ここでふと疑問に思うことがあるかもしれません。

「手紙って、最近あまり送らないけど、実際に受け取ったら嬉しいものなの?」

次の章では、手書きの手紙がもたらす意外な効果についてお話しします。

手紙がもたらす意外な効果とは?

最近では、スマートフォンやSNSの普及により、手書きの手紙を送る機会はめっきり減りました。それでも、いざ手紙を受け取ると「こんなに嬉しいものだったんだ」と思うことがありますよね。

では、なぜ手書きの手紙は特別に感じるのでしょうか?

実は、手書きには私たちの心理に働きかける意外な効果があるのです。

手書きの言葉は記憶に残りやすい?

「文字を手書きすると記憶に残りやすい」という話を聞いたことはありませんか?

これは実際に科学的にも証明されており、手書きの文字はデジタルよりも「3倍記憶に残りやすい」とされています。その理由は、手を動かして文字を書くことで、脳の「運動記憶」が活性化されるから。例えば、学生時代に「ノートに書いて覚えた」という人も多いのではないでしょうか?

絵手紙は、そこに「絵」という視覚情報も加わるため、より印象に残りやすくなります。つまり、相手に気持ちを伝えるだけでなく、「あなたのことを思って描きましたよ」というメッセージが、長く記憶に刻まれるのです。

メールよりも温かみが伝わる

「ありがとう」とLINEで送るのと、手書きの「ありがとう」をもらうのでは、受け取ったときの感情が違うと思いませんか?

LINEやメールは即時にやりとりできる便利なツールですが、その分、気持ちの重みが軽く感じられることもあります。一方で、手書きの手紙は「書くための時間」が必要です。

  • どんな絵を描こう?
  • どんな言葉を添えよう?
  • 誰に送ろう?

この「相手のことを考える時間」が、受け取った人にとっても大切なものになります。「この人は、私のことを考えて、時間を使ってくれたんだ」と思うと、それだけで温かい気持ちになるものです。

形に残るから、何度でも読み返せる

SNSのメッセージやメールは、時が経つと流れてしまうことが多いですよね。しかし、手書きの手紙は「実物」として残ります。

片付けをしているときに、ふと昔の手紙が出てきて、懐かしい気持ちになったことはありませんか?手紙はただのコミュニケーションツールではなく、思い出を形にするものでもあるのです。

特に絵手紙は、「そのときの気持ちや風景」を色や形として残せるので、時間が経って見返したときに、そのときの気持ちが鮮明によみがえります。

「この頃、こんなことを思っていたんだな」
「そういえば、こんなことがあったな」

そんなふうに、手紙を開くたびに過去の思い出がよみがえるのも、手書きの手紙ならではの魅力です。

では、ここで少し「絵手紙の日」に関連するちょっとした雑学を紹介しましょう。日頃なにげなく使っている「郵便マーク」にも、実は面白い由来があるのです。

『絵手紙の日』にまつわるちょっとした雑学

「絵手紙の日」は、手書きの温かみを再認識する素敵な記念日ですが、せっかくなら関連するちょっとした雑学も知っておきたいところ。手紙や郵便にまつわる面白い話をいくつか紹介しますので、ぜひ会話のネタにしてみてください!

郵便マーク「〒」の意外な由来

日本の郵便局でおなじみのマーク「〒」。実は、最初は違う記号だったことをご存じでしょうか?

もともと明治時代、日本の郵便制度は「逓信省(ていしんしょう)」が管轄しており、その頭文字の「T」を郵便マークとして使っていました。しかし、この「T」は海外では「郵便料金不足」を意味するマークだったため、誤解を招く恐れがあったのです。

そこで、日本独自の郵便マークを作ることになり、逓信省の「テ」のカタカナをモチーフにした「〒」が採用されたのです。今では当たり前のように使われていますが、こんな由来があったとは意外ですよね。

世界一短い手紙の内容とは?

手紙といえば、長文で思いを綴るもの…というイメージがあるかもしれませんが、実は「世界一短い手紙」はたった1文字でやりとりされたものなのです。

それは、フランスの小説家ヴィクトル・ユーゴーによるもの。彼が自身の代表作『レ・ミゼラブル』を出版した後、その売れ行きが気になって出版社に手紙を送りました。

その内容は、なんと「?」だけ。すると出版社は、それに対して「!」とだけ返信しました。

「売れ行きはどう?」(?)
「絶好調です!」(!)

たった1文字ずつのやりとりですが、これだけでしっかりと意思疎通ができていますよね。シンプルでありながら、絶妙なユーモアのあるやりとりに、思わずクスッとしてしまいます。

古代の手紙は「伝書鳩」が配達していた?

現代では郵便局が手紙を届けてくれますが、昔はどうやって手紙を運んでいたのでしょうか?

実は、古代エジプトやローマ時代には「伝書鳩」を使って手紙を送る文化があったのです。鳩は「自分の巣に戻る習性」があるため、遠くに離れた場所からでも巣に帰ろうとする特性を活かし、情報を運ぶ手段として利用されていました。

日本でも、戦国時代の武将たちが「軍の指示を伝える手段」として伝書鳩を使っていた記録が残っています。さすがに現代では使われていませんが、考えてみると「伝書鳩を使う」という発想そのものが、なんともロマンがありますよね。

誰かに教えたくなる『絵手紙の日』の裏話

2月3日は「絵手紙の日」。この記念日には、手書きの温かみを改めて感じるきっかけが詰まっています。

絵手紙は、「ヘタでいい、ヘタがいい」という考え方が大切であり、上手に描くことよりも気持ちを伝えることが本質。さらに、手書きの手紙には「記憶に残りやすい」「温かみがある」「形に残る」という特別な効果があり、デジタルのメッセージとは違う魅力を持っています。

また、「郵便マークの由来」「世界一短い手紙」「伝書鳩の手紙配達」など、手紙にまつわる面白い雑学を知ると、改めて手紙文化の奥深さを感じますよね。

この話、誰かに教えたくなりませんか?何気ない雑談の中で「そういえば、2月3日って『絵手紙の日』って知ってた?」と話してみるのも面白いかもしれません。

もしかしたら、その会話がきっかけで、久しぶりに手紙を書いてみようかなと思う人が出てくるかもしれませんね。

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