自由形はクロール以外でもいい?なぜ競泳ではクロールばかりなのか

雑学

自由形はクロール以外で泳いでもよい

水泳の「自由形」と聞くと、ほとんどの人はクロールを思い浮かべるのではないでしょうか。オリンピックや競泳中継でも、自由形の選手はほぼ全員がクロールで泳いでいます。

しかし、自由形は「クロール」という名前の種目ではありません。通常の自由形では、ルール上、泳ぎ方そのものは自由です。つまり、クロール以外の泳ぎ方で出場することもできます。

たとえば平泳ぎやバタフライのような泳ぎ方をしても、通常の自由形ではそれだけで失格になるわけではありません。自由形という名前は、泳法を指定しないところに由来しています。

ただ、実際の競泳では「できる」と「勝ちやすい」は別の話です。ここに、自由形なのにクロールばかりになる理由があります。

競泳でクロールばかりになる理由

自由形でクロールが選ばれる大きな理由は、速さと効率のバランスにあります。クロールは腕を左右交互に動かし続けるため、推進力を途切れさせにくい泳ぎ方です。

また、体を大きく上下させずに前へ進みやすく、呼吸も横を向いて行えます。短距離でスピードを出しやすいだけでなく、長い距離でも比較的リズムを保ちやすい泳法です。

一方で、平泳ぎは体の上下動が大きく、バタフライは強い推進力がある反面、体力の消耗も大きくなります。背泳ぎも速い泳法ですが、前方を見ながら泳げないため、自由形の主流にはなりにくい面があります。

つまり、自由形でクロールが多いのは「クロールで泳がなければいけない」からではありません。勝つために最も現実的な泳ぎとして、多くの選手がクロールを選んでいるのです。

自由形でも潜水やメドレーには制限がある

自由形という名前だけを見ると、どんな泳ぎ方でも完全に自由に思えるかもしれません。しかし、競泳の自由形にも守るべきルールはあります。

たとえば、スタート後やターン後にずっと水中を進み続けることはできません。一定の距離までに頭が水面上に出ている必要があり、レース中も体の一部が水面上に出ていることが求められます。

また、個人メドレーやメドレーリレーの「自由形」は、通常の自由形とは少し扱いが違います。

メドレーではすでにバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎを泳いでいるため、自由形の区間ではそれら以外の泳法で泳ぐ必要があります。

このように、自由形は泳法の自由度が高い種目ですが、競泳として成立させるための枠組みはあります。「自由」といっても、勝手気ままに何でもできるわけではないところが面白い点です。

昔から自由形がクロール一択だったわけではない

今の競泳を見ると、自由形は最初からクロールのためにある種目のように感じます。ところが、競泳の歴史をたどると、最初から現在のようにクロール一択だったわけではありません。

近代競泳では、速く泳ぐためにさまざまな泳法が試される中で、平泳ぎや背泳ぎ、バタフライがそれぞれ別の種目として整理されていきました。

その中で、速さと効率の面で有利だったクロールが自由形の中心になっていきます。自由形がクロールの別名になったのではなく、競技の中でクロールが最も選ばれる泳ぎになったと見ると、印象が少し変わります。

つまり、自由形の歴史は「クロールという種目がない理由」にもつながっています。クロールだけを独立させると、自由形とほとんど同じ競技になってしまうためです。

自由形だからこそクロールが選ばれている

自由形では、クロール以外で泳ぐこと自体はできます。それでも競泳の自由形でクロールばかりになるのは、選手たちが自由に泳法を選んだ結果、速く泳ぎやすいクロールに集まっていくからです。

名前だけを見ると「自由形なのに、なぜみんな同じ泳ぎなのか」と不思議に感じます。しかし実際には、自由だからこそ、勝つために最も有利な泳ぎへ自然と近づいていると考えられます。

次に自由形のレースを見るときは、クロールを「決められた泳ぎ」としてではなく、自由に選べる中で選ばれた泳ぎとして見てみると、競泳の見え方が少し変わるかもしれません。

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