『トマトソース』と『ケチャップ』は何が違う?農林水産省が定めた定義を解説!

雑学

意外と知らない『トマトソース』と『ケチャップ』の違い

「パスタにケチャップ使ってる!」「え、それって違うの?」そんなやり取り、SNSで見かけませんか?

特に料理初心者の方から「パスタのレシピを見たら『トマトソース』って書いてあったけど、ケチャップでも代用できるのかな?」という質問をよく耳にします。確かに、どちらもトマトから作られているので、混乱してしまいますよね。

でも安心してください。トマトソースとケチャップの違い、実はとってもシンプルなんです。意外にも、その違いは農林水産省がきちんと定めているんですよ。今日は、その違いから使い分けまで、トマトにまつわる楽しい話と一緒にご紹介します。

『トマトソース』と『ケチャップ』には明確な違いがあった

実は、トマトソースとケチャップの違いは「可溶性固形分(※1)」という数値で決まっています。トマトケチャップは25%以上、トマトソースは8%以上25%未満と定められているんです。数字だけ見ると分かりにくいかもしれませんが、要するにトマトケチャップの方が濃いということです。

スーパーで見かける赤い色の違いも、実はこの数値が関係しているんですよ。トマトケチャップの方が濃い赤色をしているのに気付いたことはありませんか?これは、トマトの濃縮度が高いためなんです。

面白いことに、この違いは味わいにもはっきりと表れます。トマトケチャップは甘みと酸味がしっかりしていて、そのままでも味が決まっています。一方、トマトソースはやや薄めで、料理の味付けのベースとして使いやすいんです。

料理研究家の山田さんは「トマトケチャップは調味料、トマトソースは素材」という言い方をしています。確かに言い得て妙ですよね。この違いを知っているだけで、レシピを見るときの理解度がグッと上がります。

※1:可溶性固形分とは、水に溶ける成分の量のことです。ジュースでいう糖度のようなもので、この値が高いほど濃く仕上がります。例えば、オレンジジュースで例えると、ストレートジュースと濃縮還元ジュースの違いのようなものです。

比較項目 トマトソース トマトケチャップ
可溶性固形分 8%以上25%未満 25%以上
特徴 やや薄め、さらりとした舌触り 濃厚、とろみがある
主な用途 料理のベース、煮込み料理 調味料、仕上げの味付け
一般的な容器 缶、瓶 チューブ、ボトル

トマトソースの意外な正体と知られざるルーツ

トマトソースについて「ケチャップを薄めたもの」だと思っている人も多いのですが、実はまったくの別物。歴史的に見ても、トマトソースの方が先輩なんです。

イタリアではトマトソースのことを「サルサ・ディ・ポモドーロ(※2)」と呼び、何世紀も前から親しまれてきました。トマトと塩、香辛料だけのシンプルな組み合わせで、素材の味を活かすイタリア料理の考え方がよく表れているんです。

一方、フランスでも独自のトマトソース文化が発展。「ソース・トマト」として知られ、きめ細かい作り方で定評があります。玉ねぎやセロリなどの香味野菜を加えることで、より深い味わいを引き出すのが特徴です。

※2:サルサ・ディ・ポモドーロは直訳すると「トマトのソース」という意味です。「ポモドーロ」は黄金の林檎という意味で、かつてトマトが黄色い品種だった時代の名残だとも言われています。

意外と新しい?トマトケチャップが世界に広まるまで

魚醤

対して、現代の私たちが知るトマトケチャップは比較的新しい調味料です。実は、最初のケチャップにトマトは使われていませんでした。

驚くべきことに、ケチャップの語源は東南アジアの「魚醤(ぎょしょう)」(※3)にあるんです。「kecap」や「ketjap」と呼ばれる調味料が、イギリスの商人によってヨーロッパに伝わり、それが今のケチャップの原型になりました。

では、いつからトマトが使われるようになったのでしょうか?19世紀のアメリカで、余ったトマトの活用法として考案されたのが始まりです。当時のアメリカでは、酸味の強いトマトは人気がなく、廃棄される運命にありました。

そこで、砂糖と酢を加えて調味し、保存性を高めた新しい調味料として生まれ変わったのです。これが大成功を収め、世界中で愛される調味料になりました。

※3:魚醤とは魚を塩漬けにして発酵させた液体調味料のことです。現代のナンプラーやニョクマムに近い調味料でした。

トマト加工品の世界はもっと深い!知って得する豆知識

トマトピューレ

トマトソースとケチャップの違いが分かってきたところで、実はまだまだ知っておくと便利なトマト加工品があるんです。スーパーの棚を見渡すと、トマトピューレやトマトペースト、ホールトマトなど、様々な製品が並んでいますよね。

特に注目したいのがトマトピューレとトマトペースト。この2つも実は明確な違いがあります。トマトピューレは無塩可溶性固形分(※4)が24%未満、トマトペーストは24%以上と定められているんです。簡単に言えば、トマトペーストの方が濃いということですね。

実際のところ、イタリアのシェフたちはトマトピューレを「パッサータ」と呼び、パスタソースのベースとしてよく使用します。一方、トマトペーストは料理のコクだしとして、少量ずつ使うのが一般的なんです。

※4:無塩可溶性固形分とは、可溶性固形分から塩分を除いた値のことです。つまり、純粋なトマト成分がどれだけ含まれているかを示す指標になります。

プロも実践!トマト加工品の賢い使い分け術

では、これらのトマト加工品はどう使い分ければいいのでしょうか?料理の種類によって、最適な選択が変わってきます。

例えば、ミートソースを作る場合。プロの料理人たちは、トマトソースをベースにしながら、少量のトマトペーストでコクを出し、最後の味の調整にケチャップを加えるなんてテクニックも使うんです。

実は家庭でよく作られるナポリタンが、トマトケチャップで作られるようになったのには面白い理由があります。戦後の日本で、アメリカ軍基地のコックが手軽に作れるパスタとして考案したのが始まりなんです。本場イタリアでは考えられない組み合わせですが、これが日本の洋食文化として定着しました。

また、カレーやシチューにトマト加工品を加えると、コクと深みが増すことはご存知でしょうか?特にトマトペーストを少量加えるだけで、料理がグッと本格的な味わいになります。

料理名 おすすめ商品 選ぶ理由
ミートソース トマトソース+トマトペースト ソースでベース作り、ペーストでコクを出す
ハンバーグソース トマトソース 肉の旨みを活かせる
ナポリタン トマトケチャップ 程よい酸味と甘みで仕上がる
カレー・シチュー トマトペースト コクと深みを出す隠し味に

思わず誰かに教えたくなる!トマト加工品の面白発見

ここまでトマトソースとケチャップの違いを中心に見てきましたが、実はまだまだ興味深い話があるんです。

例えば、ケチャップの保存方法について、世界中で議論が巻き起こっているのをご存知ですか?2023年、ハインツ社のイギリス法人が「ケチャップは冷蔵庫で保存を!」と発表し、話題になりました。一方で、アメリカ法人は「常温でも大丈夫」と主張。同じ会社なのに、なんとも面白い食文化の違いが表れていますよね。

また、世界のケチャップ事情も実に興味深いものです。フィリピンでは「バナナケチャップ」が主流だったり、インドネシアでは「ケチャップマニス」という甘い醤油のような調味料をケチャップと呼んだりします。

ちなみに、日本の特徴的なトマトケチャップの使い方として、味噌汁の隠し味に使う人もいるんです。一見すると異質な組み合わせに思えますが、トマトの旨味と酸味が味噌の風味を引き立て、より深みのある味わいを作り出すんです。

トマトソースとケチャップの違いで、料理上手に見られる!

さて、ここまでトマト加工品についていろいろな話を見てきました。最後に、友人や家族に自慢したくなるような豆知識をひとつ。

実は、トマトソースとケチャップの違いを理解していると、レストランでちょっと粋な注文ができるんです。例えば、ハンバーグを頼むとき。「トマトソースでお願いします」と言うだけで、料理通に見えるかもしれません。

なぜなら、プロの料理人たちの間では、肉料理にはケチャップよりもトマトソースを合わせる方が「格上」とされているからです。ソースの風味が邪魔せず、お肉の味を引き立ててくれるんですよ。

こういった知識は、パーティーでの会話のネタにもぴったり。「実はケチャップって、元々は魚醤から進化したんだよ」なんて話を切り出せば、きっと盛り上がること間違いなしです。

トマトソースとケチャップ、どちらが優れているというわけではありません。それぞれの特徴を知って、上手に使い分けることで、料理の世界がもっと楽しくなるはずです。次は、あなたもこの知識を誰かに教えてみてはいかがでしょうか?

商品名 成分の特徴 味わい 向いている料理 保存形態
トマトソース 可溶性固形分8%以上25%未満 トマト本来の風味、さっぱり パスタ、煮込み料理のベース 缶・瓶
トマトケチャップ 可溶性固形分25%以上 甘みと酸味がはっきり 仕上げの味付け、ソース代わり チューブ・ボトル
トマトピューレ 無塩可溶性固形分24%未満 濃厚なトマト味 ソース作りの材料 缶・紙パック
トマトペースト 無塩可溶性固形分24%以上 非常に濃厚 隠し味、コク出し チューブ・缶

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