宇宙の匂いはラズベリー?宇宙飛行士が明かす驚きの7つの香り

雑学

宇宙の匂いって本当にあるの?飛行士たちの衝撃証言

「宇宙には匂いがない」と思っている方は多いのではないでしょうか。真空の空間に香りがあるなんて、直感に反する話に聞こえますよね。
実際、宇宙空間そのものは真空に近いため、直接匂いを嗅ぐことはできません。宇宙服を脱いで真空を直接嗅げば、酸素がないため命の危険があります。しかし、宇宙飛行士たちは「宇宙の匂い」を間接的に体験しているのです。

その体験方法は主に2つあります。1つは船外活動から戻った宇宙飛行士の宇宙服に付着した独特の香り。もう1つは宇宙ステーションの内部空間の匂いです。この2つは全く性質が異なるため、区別して理解する必要があります。

ある日本人宇宙飛行士は船外活動から戻ってきた同僚に近づくと、金属臭のような独特の香りがすることに気づきました。飛行士たちはそれを「スメル・オブ・スペース(宇宙の匂い)」と呼んでいたそうです。

この「宇宙服に付着する匂い」こそが、多くの宇宙飛行士が証言する「本物の宇宙の匂い」と言えるでしょう。では、宇宙飛行士たちはこの香りをどのように表現しているのでしょうか?

宇宙飛行士が語る!7つの驚くべき宇宙の香り

宇宙服に付着した「宇宙の匂い」について、宇宙飛行士たちはさまざまな表現を使います。まるで香水の専門家のように、独自の言葉で宇宙の香りを説明してくれました。

金属的な甘さ

「心地よい金属的な感じの匂い」と語るのは、アメリカの宇宙飛行士です。「大学時代に溶接トーチで何時間も作業していた時の、甘い香りのする溶接煙を思い出した」と表現しています。

金属が高温で加熱された時に出る独特の匂いを想像してみてください。でも不思議なことに、不快ではなく、どこか懐かしさを感じるような香りなのだそうです。

ラズベリーとラム酒

日本人女性宇宙飛行士は「宇宙の香りはラズベリーのような匂い」と証言しています。「ちょっと甘酸っぱい香りがするんです」と語る彼女の表現は、後に天文学者が発見した「ギ酸エチル」という物質の特性と一致しました。

金属臭がするのに、同時にフルーティな香りも感じるというのは不思議ですね。これは同じ匂いを異なる視点で表現したものかもしれません。

焦げたステーキ

「宇宙は表面を炙ったステーキのような匂いがする」と語る宇宙飛行士も多いです。肉が熱せられた時に出る香ばしい匂いを思い浮かべてみてください。

この表現は特に船外活動から戻った直後の宇宙服から感じられる匂いを表しています。熱で焦げたような、独特の香ばしさが特徴です。

火薬の残り香

「銃を撃った後の匂いのようだ」と表現する宇宙飛行士もいます。火薬が燃えた後の、あの独特の刺激的な匂いです。この表現は、宇宙服に付着した物質が宇宙船内の空気と化学反応を起こした時に発生する匂いを表していると考えられています。

オゾンの刺激

「はっきりとしたオゾンの臭い、かすかな刺激臭があります」と証言するのは、3回の船外活動を経験した宇宙飛行士です。

地球でも雷が落ちた後や、コピー機の周りで感じる独特のピリッとした匂い、あれがオゾンの匂いです。空気清浄機が作動している部屋で感じる清々しいようでいて少し刺激的な香りをイメージするとわかりやすいでしょう。

焦げたクッキー

「焦げたアーモンドクッキーのような匂い」という珍しい表現も。少し甘く、香ばしい風味を想像させます。

これは「焦げたステーキ」と似た表現ですが、より甘さを感じさせる特徴を捉えたものでしょう。オーブンでクッキーを焼きすぎた時の、あの甘くて焦げた香りが宇宙服から漂うというのは意外ですね。

硫黄の不思議な香り

「宇宙はまるで魔女がちょうどそこにいたかのように、硫黄のような匂いがします」とカナダ人宇宙飛行士は詩的に表現しています。

火山の周りや温泉で感じる、あの独特の卵が腐ったような匂いをイメージしてみてください。少し不快なイメージのある匂いですが、これも宇宙空間を特徴づける重要な香りの一つなのです。

これらの表現は一見バラバラに見えますが、実は共通の化学的根拠があります。次は、なぜ宇宙服からこのような匂いがするのか、その科学的な理由を探っていきましょう。

なぜ宇宙服に匂いが付くの?科学的解明

宇宙服に付着する「宇宙の匂い」の正体について、科学者たちは研究を進めています。宇宙飛行士の感覚的な表現の裏には、いくつかの科学的根拠があったのです。

原子状酸素とオゾンの反応

「オゾンのような匂い」や「金属の匂い」の正体は、主に「原子状酸素」と関連しています。これは通常の酸素分子(O₂)ではなく、単体の酸素原子(O)のことです。

国際宇宙ステーションが周回する高度(約400km)では、太陽からの強い紫外線によって酸素分子が分解され、反応性の高い原子状酸素が存在しています。この原子状酸素が宇宙服の外側に付着し、宇宙船内に持ち込まれると空気中の酸素と反応してオゾン(O₃)を生成します。

「エアロックを再加圧してスーツから降りると、はっきりとしたオゾンの臭い、かすかな刺激臭があります」と宇宙飛行士は証言しています。オゾンは雷雨の後に感じる独特のピリッとした匂いの正体であり、それが「宇宙の匂い」の主要な要素の一つと考えられているのです。

多環芳香族炭化水素の存在

「焦げた肉」や「火薬」のような匂いの原因として考えられているのは「多環芳香族炭化水素」と呼ばれる物質群です。NASAの天体物理学者によれば、この物質は彗星や宇宙塵にも含まれています。

多環芳香族炭化水素は地球では、化石燃料やバイオマス燃料の燃焼時に発生する物質で、バーベキューの煙や焼けた肉にも含まれています。宇宙空間を漂うこれらの分子が、船外活動中の宇宙飛行士の服に付着すると考えられています。

宇宙服を脱いだ瞬間に広がる「焦げたステーキ」や「焦げたクッキー」のような香りは、これらの多環芳香族炭化水素によるものかもしれません。

宇宙船の材質の反応

宇宙服自体の材質が極端な温度変化や真空環境にさらされることで、何らかの化学反応を起こし、独特の匂いを発している可能性も指摘されています。

「宇宙空間の真空状態にさらされ、宇宙服の中にわずかに残っていた空気が逃げるのか、あるいは宇宙空間の厳しい温度差にさらされて宇宙服の材質からにおいが発するのか」と宇宙飛行士も不思議に思っているようですが、宇宙服の材質と宇宙環境の相互作用も「宇宙の匂い」に寄与していると考えられています。

これらの科学的な原因が組み合わさることで、宇宙飛行士が感じる「金属的」で「甘い」「焦げたような」「火薬のような」複雑な匂いが生まれるのでしょう。

場所で異なる宇宙関連の匂い図鑑

「宇宙の匂い」といっても、実は場所によって全く異なります。ここでは、宇宙飛行士が実際に体験する匂いと、天文学的研究から推測される宇宙空間の匂いに分けて紹介します。

宇宙の匂いを再現する試み

宇宙飛行士の証言をもとに、研究者や企業は「宇宙の匂い」を地球上で再現しようと様々な取り組みを行っています。訓練用の特殊な香料から一般消費者向けの製品まで、それぞれ独自のアプローチで宇宙の香りを表現しています。これらの再現品を通じて、私たちも間接的に宇宙の匂いを体験できるのです。

NASAの訓練用匂い

NASAは宇宙飛行士のトレーニングのために、「宇宙の匂い」を再現しました。イギリスの香料メーカーの専門家と協力し、宇宙飛行士の証言をもとに香りを作り出したのです。

「最近、月の匂いも作りました」と香料メーカーの専門家は言います。「宇宙飛行士たちは、それを使い切った火薬のような匂いだと表現しました」。

このような宇宙の匂いを再現した香りは、宇宙飛行士の訓練にとって重要です。実際の宇宙環境をよりリアルに模擬することで、宇宙空間での活動に備えることができるのです。

市販の宇宙アロマ製品

2020年、クラウドファンディングで話題となった「宇宙の香りを再現した香水」が登場しました。開発者は「火薬と表面をあぶったステーキ、ラズベリー、ラム酒がまざったにおい」というコンセプトで調香しました。

また、銀河中心部で発見されたギ酸エチルの香りを取り入れた「SPACE TEA」というフレーバーティーも販売されています。自宅で宇宙の香りを楽しめる時代が来たのですね。

プラネタリウムでも「宇宙の香り」を再現する取り組みが始まっています。ある日本人宇宙飛行士は「宇宙の香りを、例えばプラネタリウムなどで再現すれば、宇宙空間の雰囲気をより忠実に再現できるでしょうね」と期待を寄せています。

視覚と聴覚だけでなく、嗅覚も使って宇宙を体験できれば、宇宙への理解と関心はさらに深まるでしょう。

宇宙環境が香りに与える影響

「宇宙の匂い」を再現する試みとは別に、宇宙環境そのものが地球上の物質や生物の香りにどのような影響を与えるかという研究も行われています。

微小重力や宇宙放射線といった特殊な環境は、植物や他の有機物の化学組成を変化させ、その結果として香りも変わることがあるのです。これらの研究は将来の宇宙農業や長期宇宙滞在にも重要な知見をもたらします。

宇宙で変化した植物の香り

1998年、宇宙飛行士たちはスペースシャトルでバラの実験を行いました。宇宙で咲いた「宇宙バラ」の香りは地上よりもかぐわしく、宇宙飛行士たちにヒーリング効果をもたらしたそうです。

特殊な針を使って花弁上の「匂い分子」を採取して分析したところ、宇宙ではにおいを構成する化学成分に顕著な変化が現れていました。地球上の重力や大気とは全く異なる環境で育った植物は、異なる香りを発するようです。

これは「宇宙の匂い」そのものではありませんが、宇宙環境が香りの分子にどのような影響を与えるかを示す興味深い例です。将来、「宇宙育ち」のハーブやバラの香りを楽しめる日が来るかもしれません。

あなたも宇宙の香りを体験してみませんか?

「宇宙の匂い」について知ると、夜空を見上げる時の感覚が変わってきませんか?真っ暗に見える宇宙空間に、さまざまな香りを持つ分子が漂っていることを想像すると、宇宙がもっと身近に感じられるかもしれません。

私たちが宇宙空間に行ったとしても、宇宙服を着たまま直接その匂いを嗅ぐことはできません。しかし、宇宙飛行士たちの証言や科学者の研究によって、間接的に「宇宙の匂い」を知ることができます。

地球では、宇宙の匂いを再現した香水やお茶などの製品で、その不思議な世界の一端を体験できます。また、プラネタリウムなどでも香りを取り入れた宇宙体験が増えていくでしょう。

友人や家族に「実は宇宙ってラズベリーの匂いがするんだよ」と話せば、きっと驚きの反応が返ってくるはず。宇宙の匂いという意外な話題で、星空を見上げながらの会話が盛り上がることでしょう。

そして次に星空を見上げるとき、「あの星はどんな匂いがするのだろう?」と考えてみてください。科学的な事実に基づいた想像力が、宇宙への好奇心をさらに広げてくれるはずです。

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