『ギー』と『バター』
日本ではあまり馴染みがないですが、バターそっくりな食べ物に「ギー」というものがあります。初めて「ギー」という食べ物を知った、という方も多いのではないでしょうか?
今回は、ギーとバターの違いをわかりやすく解説。ギーの魅力についてもご紹介します。知ればきっと、みなさんの料理の幅を広げたり、食生活の選択肢を増やすのに役立つかもしれませんよ!
そもそも「ギー」とは何なのか?
ギーとは、無塩発酵バターを加熱して水分やたんぱく質、糖分などを取り除き、純度の高い脂肪分だけを残したオイルです。主にインドをはじめとする南アジアで古くから作られ、料理や健康法などに幅広く使われてきました。
インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、ギーは非常に価値のある存在とされ、「千の使い道と千の効能がある」と記された文献もあるほど。神聖なものとしても扱われ、宗教儀式に使われたり、治療に使われたりすることもあります。
今でもインドの家庭では、手作りのギーが母の味として親しまれており、里帰りの際にお土産として持ち帰る人も多いようです。牛を神聖視するヒンドゥー文化の中で、牛の乳から作られるギーは特別な存在なのでしょう。
また、ギーは約99.8%が脂質でできており、バターと違ってたんぱく質などが含まれていないため、腐りにくく、常温保存も可能です。
それでは「バター」とは?
続いて私たちの身近な食べ物「バター」について解説します。
バターは、生乳から取り出した脂肪分をかき混ぜて固めた乳製品。生乳を遠心分離すると上にクリームが浮かび、その中には脂肪を包む膜がついた脂肪球が含まれています。この脂肪球を撹拌することで膜が破れ、中の脂肪同士がくっついてバターができあがります。
バターの製造には多くの生乳が必要で、200グラムのバターを作るのにおよそ4リットル以上の生乳が使われます。成分としては約80〜84%が脂肪で、残りは水分とごく少量のたんぱく質、そしてビタミンA・D・Eなどの栄養素で構成されています。
市販されているバターにはいくつか種類があります。発酵させたものとそうでないもの(非発酵)があり、それぞれに塩を加えた「加塩タイプ」と、塩を加えていない「無塩タイプ」が存在します。日本では、非発酵かつ塩入りのバターが家庭用としてよく使われています。
『ギー』と『バター』の違い
ギーはバターをさらに精製した、いわば「純粋な油脂だけを取り出したオイル」です。もともとの原料はどちらも牛の生乳であり、出発点は同じ。しかし、加工の工程が異なることで、最終的な性質が大きく変わってきます。
まず、生乳からクリームが分離され、そこから作られるのがバター。ギーはそのバター(無塩発酵バター)を加熱し、水分やたんぱく質、糖分などを丁寧に取り除くことで完成します。最終的に残るギーは、約99.8%が脂質という非常に純度の高いオイルです。
つまり、ギーはタンパク質などの成分をそぎ落とし、脂肪分だけを抽出した“洗練されたバター”とも言える存在です。実際、一部海外ではその特性から、健康に関心のある人々の間で注目を集め始めているそうです。
今回の雑学、面白かったらぜひ周りの人にも教えてあげてみてください。これを機にギーを食べてみるのもアリかもしれませんよ。