なぜトイレのことを『お花摘み』と言うの?登山から生まれた意外な由来と使い方

雑学

「お花摘みに行ってきます」という不思議な言い回し

「ちょっとお花摘みに行ってきます」。この言葉を聞いて、実際にお花を摘みに行くと思う人はほとんどいないでしょう。なぜなら、これは「トイレに行く」ことを意味する上品な言い換え表現として、多くの人に親しまれているからです。

特に職場や人前での使用が多いこの表現、実は使う人の多くがその由来を知らないのだとか。「昔から使われている宮廷言葉なのかな?」「上品な表現だから、お嬢様言葉として生まれたのでは?」なんて想像する人も多いはず。でも実は、その起源は意外なところにありました。

意外な真実!「お花摘み」は実は登山用語だった

「お花摘み」という言葉、実は山登りの世界で生まれた表現なんです。登山中、トイレに行きたくなったとき…。そう、山には当然トイレなんてありません。自然の中で用を足さなければならない状況で、特に女性は「トイレに行く」とストレートには言いにくい。

そこで生まれたのが「お花摘み」という婉曲表現でした。山の中で実際に花を摘むこともありそうな話なので、周囲に気付かれることなく自然に使える言葉として定着していったんです。

でも、なぜ「木の実を拾いに」や「景色を見に」ではなく、「お花摘み」だったのでしょうか?実は、これには面白い理由があります。女性が和式で用を足す姿が、まるでお花を摘むような仕草に見えることから、この表現が生まれたのだとか。なるほど、言われてみれば確かに似ているかも…!

現在では登山に限らず、日常生活でも広く使われるようになりました。例えば、あるオフィスでは「ちょっとお花摘みに行ってきます」という言葉が、女性社員の間で自然と使われているそう。直接的な表現を避けつつも、相手に意図が伝わる素敵な日本語表現の一つと言えるでしょう。

「お花摘み」と「雉打ち」の面白い関係

「お花摘み」が女性用の表現なら、男性用はどうなのでしょうか?実は男性には「雉打ち(キジうち)」という別の表現があるんです。「え、なぜ雉?」と思われるかもしれません。

これも「お花摘み」同様、動作の見た目が関係しています。男性が立って用を足す姿が、まるで雉を狙う猟師のような姿に見えることから、この表現が生まれたとされています。さらに面白いことに、「大雉」と「小雉」という使い分けまであったそうです。それぞれ大便と小便を表す言葉として使われていました。

ただし、「雉打ち」という表現は「お花摘み」と比べると、あまり一般的には広まりませんでした。職場で「ちょっと雉打ちに行ってきます」なんて言ったら、きっと不思議な目で見られることでしょう。

思わず誰かに教えたくなる「お花摘み」豆知識

「お花摘み」という表現は、時代とともに少しずつ使われ方が変化してきました。元々は野外での用足しを表す言葉だったのに、いつしか屋内のトイレでも使われるようになったんです。

面白いエピソードをご紹介しましょう。ある百貨店では、従業員同士の間で「すけんや」という暗号めいた言葉を使っていたそうです。「お花摘み」よりもさらに婉曲的な表現ですね。実は、百貨店ごとに独自の言い方があり、「遠方」「にのじ」「じんきゅう」「サンサン」など、実に様々な表現が存在するんです。

「お花摘み」以外のユニークな言い換え表現

「お花摘み」以外にも、トイレを表す言い換え表現は数多く存在します。「化粧直し」は女性によく使われる表現ですが、これは必ずしもトイレだけを指すわけではありません。「在庫確認してきます」は職場でよく使われる表現で、お客様の前でも自然に使えるのが特徴です。

中には「泳いできます」という変わった表現を使う職場もあるそうです。水つながりということでしょうか。「頑張って」「気をつけて」なんて声をかけられると、思わず笑ってしまいそうですね。

誰かに話したくなる日本語の面白さ

「お花摘み」の話を知った今、この表現を使うたびに、その奥深い歴史や意味を思い出すことでしょう。山での必要性から生まれ、時代とともに進化してきたこの言葉は、まさに日本語の豊かさを象徴する表現と言えます。

登山用語だった言葉が、いつしか日常的な婉曲表現として定着していく。その過程には、相手を思いやる日本人特有の感性が表れているのかもしれません。

友人や家族との会話で「実は『お花摘み』って登山用語なんだよ」と話してみてください。きっと「へえ、知らなかった!」という反応が返ってくるはずです。そして、その会話を通じて、改めて日本語の面白さや奥深さを感じることができるでしょう。

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